おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

2019年12月のブログ記事

  • 黄色くなった大事な半紙

    棺に入った小柄のおばあちゃんは、微笑んでいました。 喪主をつとめるのは、故人のお孫さんにあたる、白髪頭の初老の老人です。  「葬儀屋さん、この半紙を必ず入れてください。おばあちゃんがとても大事に   していました。なんだか、これを持って行くと、会いたい全員に、   必ず会えると、何回も言っていまし... 続きをみる

    nice! 112
  • 星になったサンタ 

             サンタクロースの旅立ち 追記 先日、サンタクロースの衣装で納棺をして、天にお送りした仏様のお宅に 初七日のご挨拶に伺いました。 少しずつ悲しみから癒えているように見える奥様が、ポツリ、ポツリと お話してくれました。 「毎年、夫がサンタクロースの衣装でプレゼントを届けていた保育園に... 続きをみる

    nice! 102
  • サンタクロースの旅立ち

     「この衣装を、棺に一緒に入れてください」 こう言って奥様が差し出してきた衣装は、真っ赤な服に白い縁取りのジャケットと ズボン、太いベルト、ボンボンのついた帽子、長靴、そしてフサフサの白く長い 付け髭、そう本格的なサンタクロースの衣装です。 いままで、いろいろな品物を仏様に持たせてきましたが、さす... 続きをみる

    nice! 97
  • 御通夜の深夜に解かること

    「葬式なんて必要ない。面倒なだけだ。」 「葬式を行う意味が解らない。葬儀屋なんか帰ってもらえ」 打ち合わせの時の喪主様は、けんか腰でした。 それでも周りの家族・親族がたしなめ、多くの参列者で通夜が行われました。 通夜の語源は、釈迦が入滅した時に弟子たちが師匠の死を悼み、お説法を夜通し、 語り合った... 続きをみる

    nice! 104
  • お家の宗派を知っていますか?

    葬儀屋が、初めてお葬式を出すご家庭にお寺の宗派を尋ねても、答えられなくて、実家や本家、親戚などに電話を掛けまくり、聞いてまわるケースは結構あります。 お寺とお付き合いがあり、自分の先祖からの宗教を知り、お葬式の時は頼むところが 決まっていると言う方はとても少なくなりました。   仏教には大きく分け... 続きをみる

    nice! 85
  • 二人で旅立った葬儀式

    高齢の母親を送る通夜の席が始まろうとしていました。 突然、喪主をつとめている息子さんが、私に相談があると囁いてきました。 「実は、さっき父が入院している病院から連絡があって、今夜が峠だというのだ」 ということは、もしかして、今夜の峠を越えられないとすると、 葬儀が続いて出ることになります。 今夜の... 続きをみる

    nice! 86
  • 後を追ったペット

    先月にご葬儀を終えた喪家宅に、後祭り祭壇の引き上げにうかがいました。   火葬場から持ち帰ったお骨と、白木位牌を飾って置き、満中陰まで置いておく 祭壇を、後祭壇とか、後飾壇と言います。 関西地方では中陰壇とも言います。 満中陰とは、亡くなった日から、7日ごとに7人のお釈迦様や菩薩様に会い 教えを受... 続きをみる

    nice! 91
  • 入浴中の旅立ち

    今朝の新聞に高齢者のお風呂の事故についての記事がありました。 入浴中の死亡事故は、交通事故の件数より多いそうです。   特に、高齢者では顕著に数字が跳ね上がります。 ヒートショックに、弱っている心臓が耐えられないからです。   検死が終わったので引き取りに来てくれと、警察から連絡が入りました。 お... 続きをみる

    nice! 67
  • 仏様が作った花祭壇

    お宅は、路地奥の小綺麗な一軒家でした。 入口の小道から庭一面に植木鉢が並び、 かわいいお花が、それぞれの植木鉢に咲いていました。 毎日、一つ一つのお花を、かわいがり丁寧に手入れをするのが日課だったそうです。 倒れた当日も、植木鉢の水やりの最中でした。 お花が大好きだった奥様が、今回の仏様です。 祭... 続きをみる

    nice! 68