おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

2022年3月のブログ記事

  • 高齢者が自殺をする日本

    口からダランと伸びた舌を押し込みました。首に残された黒い策条痕は、包帯を巻いて隠しました。白装束の襟を立てて首元の包帯を隠し、周りを綿花で覆いました。手元の死体検案書の死因の欄には「縊死」と記入されています。首吊りです。自殺です。72歳のお爺ちゃんが自宅で首を吊って、ここに横たわっています。 我が... 続きをみる

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  • 家の真宗は西なの東なの

    先日浄土真宗のお話しをしました。今回も、もう少しこの浄土真宗の話しをしてみようと思います。お葬式にお寺を呼びたいと希望される喪家様に 「ご檀家はどちらの宗派のお寺様でしょうか」と尋ねます。 「浄土真宗です」との答えが来ると「西ですか?東ですか」と尋ねます。 大概はこう帰ってきます。 「オイ、うちの... 続きをみる

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  • 家族の手で行なう死化粧

    エンディングカットと言うドラマがNHKで放映されました。夫婦で美容室を経営していた夫が、妻の余命宣告をうけました。最期まで家族と過ごしたいと希望する妻に美容室を任せ、夫は葬儀場へ向かいます。旅立つ妻の願いをかなえようと、エンディングカットという、ご遺体の髪を切る仕事を学び始めるのです。 エンディン... 続きをみる

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  • 春分の日にはお墓参りを

    春分の日は国立天文台が決めています。年によって3月20日でしたり21日になります。太陽が黄道上の春分点を通過した日なのです。地球が太陽の周りを公転する周期は丁度365日ではなく365日と6時間程かかります。ですから地球の動きで春分の日が変わるのです。 春分の日は昼と夜の長さが全く同じになる日です。... 続きをみる

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  • 私の葬式は貴方がやって

    電話が鳴りました。受話器から聞こえてきた故人の名前に、心臓がドクンと鳴りました。ついに来たかと言う思いと、全力で送ってあげようという覚悟が織り交じる感情が出てきました。あの時耳元で「私のお葬式は貴方がやってね」と囁かれた声が、よみがえりました。 配偶者を無事に送り出した喪主様から「私の時も頼むね」... 続きをみる

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  • 浄土真宗は少し違う仏教

    仏教にはいろいろな宗派があります。その中でお寺の数が一番多いのが浄土真宗です。真宗と略称で呼ぶ方もいます。当然檀家数も多いので、お葬式に呼ばれるお坊さんの割合も一番です。浄土真宗の信徒が増えたのは、仏教が貴族や武士だけの宗教では無いと説き、一般庶民のための宗教として布教されたからです。禅宗などの武... 続きをみる

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  • 顔の上の白い布は何の為

    ご遺体をお布団に安置してお着替えを済ませると、お顔の上に白い布をかぶせます。このハンカチの様な布の正式名称は「打ち覆い」と言います。葬儀社の中には「面布」とも呼ぶところもあります。布の色は白色に決まっています。昔から葬儀には色物を使いません。色のついた染物を使うと準備をしていたと捉えられたのです。... 続きをみる

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  • 一人足りない家族の食卓

    どなたにも必ず死は訪れます。大切な人を失った時は、残された家族は大きなショックを受けます。突然の死、病気と闘った末の死、そして天寿を全うした死、どのような形のお別れでも、心に受ける衝撃には変わりはありません。死と言う永遠の別れには、どなたの心にも受け入れる準備が出来ていないのです。 リビングのテー... 続きをみる

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  • 雛人形達に囲まれた仏様

    雛祭りになると思い出す仏様がいます。そのお婆ちゃんは老人会の人気者でした。お葬式は友引の日に行われました。喪主の仕事の関係と親戚の集まれる日がその日に以外に無く変更が出来なかったのです。友引は葬儀を行うのが嫌われます。理由は友人達を冥途に連れていくとの迷信からです。出来るなら、日程をずらしかったの... 続きをみる

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