おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

2020年10月のブログ記事

  • まだ葬儀屋の出番は無い

    「葬儀屋さん、すぐ来てくれないか。どうも死んでいるようだ」慌てた口調の電話です。自宅で亡くなった方を見つけると、気が動転して死人イコール葬儀屋と結びつける家族が多いのです。 「まず、お医者様に見せてください。かかり付け医がいない時は救急車を呼んでください。その時にどうやら死んでいるようだ伝えてくだ... 続きをみる

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  • 水子に父親が出来ること

    前回のブログで死産について取り上げたら、生まれなかった子を送る方法を教えてくださいとの連絡を貰いました。前述したとおり12週以降出産前までに残念ながら育たず死産になった赤ちゃんを送るには、産科医が記入した死産証書を貰い死産届を市役所に提出します。火葬許可書が出るので火葬炉を予約し火葬します。胎児の... 続きをみる

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  • 我子を火葬にしたいので

    男性が静かに入ってきました。きちっとした格好の40歳前です。葬儀依頼のようです。 「水子の棺桶を売ってください」 最初はあまり細かくは尋ねません。性別や好みもあるので3個ほどバスケット型の小さい棺桶を並べました。ピンク、水色、白のフワフワのバスケットを持ってきました。 「死産証書か死胎検案書はお持... 続きをみる

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  • 家族に思いを伝える方法

    葬儀屋にもセールスで営業の方が訪れます。当然、売り込む品々は棺桶とか骨壺、線香、蝋燭などの消耗品が主体です。その他にも、祭壇に飾る、いつまでも腐らないフェイクの果物盛り合わせとか、祭壇にご本尊の掛け軸を掛ける時に使う、自撮り棒のように延ばせる軸かけ棒などの変わった品々もあります。 先日の商談では販... 続きをみる

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  • 死んでもお水が欲しいな

    火葬場から帰ったご遺族が、玄関先で渡された塩を肩先に振り、死の穢れを落とします。洗面所の水で手を洗い、まだ暖かい骨箱を後祭り段にそっと安置します。線香と蝋燭の火をともし、手を合わせます、ご主人を送ったばかりのお婆ちゃんが急に立ち上がりました。 「たいへん、たいへん、お水を忘れていた、おじいちゃん、... 続きをみる

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  • もとの婆ちゃんに戻して

    葬儀依頼の電話が入りました。今しがた亡くなったばかりだそうです。向った先は、救急救命センターの集中治療室でした。ベッドの上に、まだ、若いお婆ちゃんが、横になっていました。 お天気が良いので友人達とランチを楽しむため、お洒落をして出かけたそうです。駅の階段で突然の脳内出血で倒れました。階段を転がり落... 続きをみる

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  • ドライアイスを外してね

    数時間前にお亡くなりになったご遺体を前にして死後の処置に取り掛かります。火葬までに死体を不快な状態にしないために必要な作業です。本音を言うと、ご遺族の皆様には、この死体を裸にして行う行為をあまり見せたくありません。そこで、こう切り出します。 「仏様を綺麗にいたしますのでしばらくお待ちください。この... 続きをみる

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  • 貴方のお茶碗は無いから

    霊柩車がホーンを鳴らし、ゆっくり進み始めます。入り口の脇で待機していたセレモニースタッフが、ビニール袋に入れられたご飯茶碗を玄関の敷石に打ち付けます。 ガチャンと高い音を立てて、仏様のご飯が入っていた故人愛用のお茶碗が砕けます。 出棺時に使っていた愛用のお茶碗を割ってしまうのは、故人の魂がこの世に... 続きをみる

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  • 男は弱い生き物なのです

    葬儀依頼の電話が鳴りました。亡くなった方を尋ねると名前と住所に覚えがありました。数か月前に奥様を突然亡くされ、お葬式をおこなった喪主様の名前です。 この仕事では同じ家のご葬儀を手伝う事が結構あります。高齢のご夫婦の片方を送ると数年後に残された方のお葬式が続くのです。それも必ず奥様を見送ったご主人が... 続きをみる

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