ボッタクリの葬儀現場は
国民生活センターに寄せられたお葬式に関する相談は2024年度に978軒あります。すべてが「こんな額とは聞いてない」と苦情の連絡です。葬儀費用が広告と違いすぎて支払った後で「だまされた」と伝える人が大部分だそうです。コロナ禍を境に直葬や家族葬などの簡素で小さなお葬式を選ぶ人が増えました。当然、請求できる金額が下がり葬儀単価が低くなった葬儀業界ですが、その反動で「喪主に吹っ掛けるやり方がよりえげつなくなった」と指摘されるボッタクリ葬儀屋も増えています。
ほとんどの人は家族が死去した後で葬儀屋探しを始めます。インターネットで葬儀屋のホームページを見て「お金をかけたくないから最低限のもので良い」と直葬30万と書かれたプランに決定し葬儀屋に連絡します。ところが打ち合わせに呼ばれた葬儀屋の説明を聞くと唖然とします。プランは棺桶と骨壺だけなのです。ご遺体を保全するためのドライアイスもなく、遺影写真もなく、線香ローソクもなく、ご遺体に着せる死に装束もなく、もちろん飾りの花もありません。「これではあまりにも可哀想」とオプションを追加していくと費用が150万に跳ね上がりました。やむなく支払いましたが「まるでご遺体を人質に取られたようです。最初の広告との金額が違いすぎて納得できない」と不満を漏らしセンターに連絡します。
直葬30万にはもう一つ落とし穴があります。お葬式を行うには葬儀屋以外に支払先があります。火葬場に支払う火葬料金、お通夜やお斎で出す料理の代金、病院に迎えに行った搬送車や火葬場に送る霊柩車の車両代金、香典返しの品物の料金を別に支払うのです。葬儀屋は自分の売り上げにならない項目はプランに入れていません。別の支出があることを最初に言わないのです。これで金額が跳ね上がります。ホームページには小さい字で『別途料金がかかる場合があります』と記入されます。
もっと悪質な例は約束したサービスをやらないのです。本来は長期間安置しない限り不必要な「エンバーミング」を勧めます。数十万のオプション料金ですがご遺族の心理として「お身体が傷むのでやりましょう」と言われると断れません。しかし防腐処理は一切しません。棺桶にそのまま入れて布団をかけ対面は棺の窓から一瞬だけなのでバレないのです。もしご遺体のメイクなどでご遺族が不審がると「死化粧なので薄化粧です」「棺桶を開けるとご遺体が傷みます」「もう火葬の時間ですから」と言ってサッサと運び出し火葬にします。
その他にも祭壇に飾る供え物の果物の料金を高価格で請求し見切り品で揃えるとか「お線香の匂いがついて食べられないから処分します」と言って購入品を家族に渡さず次の葬式に使い回しをします。
ボッタクリが増える原因は葬儀屋スタッフにもあります。大手葬儀会社の営業部の給料は歩合制です。当然価格の高いお葬式を契約すればするほど給与は高くなります。ホームページで30万とうたっているプランを追加料金150万で売ると報奨金がでるのです。営業スタッフ同士の競争をあおる仕組みもあります。営業成績によってクラスが振り分けられて優良部員には優先的に高い葬儀費用を引き出せそうな上客を回すのです。成績が悪くなると生活保護世帯や事情があり直葬を選ぶ人だけ担当することになり給料が満足に貰えません。
騙されないためには一言「この他に支払いは無いですか」と確認をとることです。