おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

2019年10月のブログ記事

  • 霊安室の鉢合わせ

         「今、病院で亡くなりました」 と、お電話が入りました。   すぐに用意をして、お迎えにあがりました。 病院の霊安室に着くと、そこにはストレッチャーを用意している、 白衣を着た男がいます。 周りに遺族と思われる数人が困った顔をしています。 ピンときました。同業者の鉢合わせです お話を伺うと... 続きをみる

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  • 末期の味噌汁

      末期の水とは、ご自宅に、ご遺体を安置した時に、 ご遺体の口元へ、水で濡らした綿棒等で、軽く唇を湿らせる儀式です。    死に際の人が、最期に水を求めることから行われた習わしとか、 仏教の儀式で死んでいく者に対する、最期の花牟家(はなむけ)などと言われています。 ご遺体は、まだ30代の若者でした... 続きをみる

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  • 手作りの小さい棺桶

         「小さい棺桶をください」   事務所の入り口に立っていたのは、若いご夫婦です。   女性は、ふわふわの産着を着せた赤ちゃんを抱いています。    その赤ちゃんは泣き声をあげませんでした。       死産用の棺桶は1尺(約30センチ)からありますが、たまたまその時は 子供用の3尺の棺桶し... 続きをみる

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  • これは息子の骨です

      バイクと大型ダンプとの衝突交通事故がおきました。   一人の若者が、旅立ってしまいました。 ご遺体の損傷がひどく、特にお顔部分が傷ついていましたので、   納体袋という黒いビニールの袋に全身を入れ、お棺に納めました。 警察の霊安室での本人確認は、お兄さんが行いました。        「ご遺体が... 続きをみる

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  • 家族葬は薦めません

    ご葬儀の打ち合わせで、ほとんどの方が、   「家族葬で行いたい」 と言われます。   しかし、打ち合わせを進めると、最初は家族葬で行うと言いながら、 親戚は呼んであり、ご近所、ご友人、介護でお世話になった方々などが、 参列する、通常の葬儀スタイルになります。   他の人を排除する家族だけの家族葬は... 続きをみる

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  • 大往生を望む方へ

      90歳近いご老人が、自宅のベッドの上で静かに息を引き取られました。   食事も出来ていましたし、昨夜までお話もしていたので、 家族も急に亡くなるとは、思いもしませんでした。 朝になり、起きてこないので、見に行ったら、息をしていなく、冷たく なりかけていました、動顚した家族は、葬儀屋に電話を入れ... 続きをみる

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  • 母の顔をもどして

      ご遺体の引取り要請の電話が入りました。   向った先は、救急救命センターの集中治療室、ベッドの上に、 まだ、お若いおばあちゃんが、横になっていました。 脳内出血で倒れ、顔面を打ち、呼吸が出来なくなって、 救急車で運ばれたとのこと。 お医者様は、蘇生の為、最善を尽くされたのでしょう。   開頭手... 続きをみる

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  • 来世でも夫婦ですか

      ご依頼の電話が鳴りました。   故人の苗字に聞き覚えがありました。  「先月、お世話になりました○○です。父が亡くなりました」 一月前に奥様を亡くし、落胆していた喪主様のお顔を思い出しながら、   病院へ、お迎えの寝台車を走らせました。 やつれてはいましたが、ホッとしているようなお顔のご遺体で... 続きをみる

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  • 葬儀屋からのアドバイス

    葬式の話しなど縁起でもないと言わないで下さい。 どなたも、一生に一回は、ご自分を含めて経験なさるのです。 しかし昨今、核家族化も進み、ご近所とのお付き合いも薄れ、 ご葬儀の知識を持つ方は、非常に少なくなってきました。 先日、親を亡くして、お葬式を無事に済ませた知人は、 「葬儀とは究極の衝動買い」 ... 続きをみる

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