おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

申告すると貰える葬祭費

お葬式を行うとお金がもらえる話をしましょう。香典の話だと勘違いしないでください。葬祭費と呼ばれる、市町村の役所から葬祭を行った方(通常喪主と呼ばれる人)に、およそ3万円~7万円程のお金が支給されます。しかし理不尽な理由で貰えない場合もあるのです。


申請の受付は、亡くなった故人の住民票があった市町村です。そこの国民健康保険を扱っている窓口、又は後期高齢者医療担当窓口に行ってください。申請書に必要事項を記入し、押印のうえ提出すると貰えるはずです。「市区町村名 葬祭費」で検索をすれば、内容が解ります。申請に必要なものは葬祭費支給申請書(窓口で記入できます)、故人の国民健康保険証、死亡診断書、申請者の印鑑(シャチハタは不可)、葬祭費を受け取る喪主名義の振込先の口座番号、そして大事なのが、葬儀社の領収書や会葬礼状などのお葬式を確認できる書類です。自治体によっては故人及び喪主のマイナンバーがわかる書類や、喪主の本人確認のための免許証等、死体火葬許可証や死亡診断書の写しなどが必要なこともあります。その他必要な書類を用意する可能性もあるので、申請前に必ず確認しておきましょう。


この制度の注意点は、申請をしないともらえないという点です。そして申請期限は葬儀が終わった日の翌日から2年間です。葬儀後は49日法要や相続等で落ち着かない日々が続き、あっという間に2年が過ぎてしまいます。お葬式が終わったら早めに申請をしてください。


もう一つ大事な事があります。それは自治体によってはこの「葬祭費」が支給されない場合があるのです。「葬祭を行った人のみに対して支給されるもの」という考えから、火葬だけのお葬式には支給しないという自治体があるのです。最近は、葬儀を行わずに火葬のみを行うお葬式も増えています。直葬や家族葬の場合も支給の対象外にしている自治体もあります。役所の考えは、あくまでも通常のお通夜や告別式にかかった費用を補助する補助金として捉えられているのです。


ですから直葬や家族葬で故人とお別れをする場合は、葬祭費補助の対象になるのか、自治体にしっかりと確認を取ることが大切です。以前は、埋葬費や葬祭費の取り扱いは厚労省が管轄していました。それが自治体ごとの運用となったことで条件等に大きな違いが出始めました。そのため、お葬式の内容で支給対象のバラツキが出る不合理が置きました。


しかし、役所を打ち負かす方法もあります。葬儀屋の発行する領収書のただし書きに「葬祭費用として」の記載があれば通るのです。「火葬式代金」とか「家族葬代金」とは書かずに「葬祭費用」と書けば、審査が通る場合があります。役人の中には「内訳書等を見せてもらいます」とか「10万円以下のお葬式代金は火葬のみと見なす」と言いがかりを付けると聞いたこともありますが、大概はすんなり通るはずです。もう一つ、葬儀費用の領収書のあて先に、喪主のフルネームの記載がないと揉める場合もあります。葬儀屋は領収書のあて名に「〇〇家葬儀代金」と記入することが多いのですが、これですと窓口で、振り込み名義人と葬儀費用の支払い者が同一人物だと言う証明を求められます。付け加えると、領収書だけが受け付けられ、葬祭費用に関する請求書、契約書、見積書では申請できません。


ほぼフリーパスで受け付ける自治体もある様です。領収書は必要なく会葬礼状だけで良いと言われた自治体では、申請する喪主様から「直送だけど一枚だけ会葬礼状を作って」と言われたこともあります。
もらえるお金はしっかりと受け取り、少しでも葬儀費用の補填に充てましょう。

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