おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

ノートの記入に葬儀屋を

終活ブームのこの頃、書店に多様なエンディングノートが並んでいます。手に取る人も見かけますが、ページを開いてみると項目の多さに、二の足を踏む人も多いのです。何から記入しようか?こんなに考えることが多いのかと悩む方が大多数です。


エンディングノートを書いてみると、残りの人生を充実した時間にするヒントが得られます。送ってくれる家族のための遺言でもあるので、終末期医療やお葬式などの希望や連絡先、そして財産などの情報を記しておくと家族の準備が楽になります。


エンディングノートの目的は、何よりも自分の思いが家族に伝わることが一番肝心です。そして記入することに悩んだら、最初にこれだけ書き込みます。「自分が死んだ時は、どこの葬儀屋に連絡して、どのような葬式をする」と記入しておく事です。


現在のお葬式はすべてが葬儀会社を介して行われます。しかし、葬儀屋選びに掛けられる時間は決して長くはありません。病院のベッドで故人を看取った瞬間から、スタッフに「早く葬儀屋さんに連絡してください」と家族は、せかされるのです。


見送った家族が最初に悩むのが葬儀屋の選定です。いざとなったらネットを開き検索上位から選ぶと考えている方が大部分ですが、過去ブログでも触れたように、上に並んでいるのは葬儀屋斡旋業者です。電話口で安心させることを言いますが、実際に葬儀を行うのは、高い紹介料を払っても引き受けたいと、待ち受ける葬儀屋が多いのです。ネットで選んだ葬儀屋では、結局後悔の残るお葬式になる確率が高くなります。


お葬式において「どこの葬儀屋に任せるか」は非常に重要です。ですが考える時間は、ほとんどありません。地元で信用がおけて歴史のある老舗の葬儀屋とか、自分たちの希望を叶えてくれる葬儀屋をピンポイントで選ぶのはとても難しいのです。


そのため事前にしっかりと地元の葬儀屋をリサーチしておくことが、求められます。価格だけでなく、評判やプランの内容、館内設備の状況、家からの距離や使いやすさ、スタッフのレベル等を調べておきます。事前に見積もりを取ったり、葬儀会場の下見をしたり、その会社の特色を知ったり、口コミで評判を調べたりしましょう。その中で「ここで自分のお葬式をして欲しい」という葬儀屋を選んでおくのです。


葬儀屋の中には、事前に予約し会員になることで葬儀費用の大幅割引を行うとか、お見舞い金を出す業者もあります。信頼のおける葬儀屋は独自のサービスを打ち出し、低価格で質の良い葬儀を提供できるようにと、さまざまな工夫をしています。亡くなった段階で、初めて葬儀屋選びを、始めるのではこのようなメリットを受けられなくなり、結果的に支払い金銭が増え「非常にモッタナイ」事になります。


終活として本人が葬儀屋を書いておくのがもっとも良い方法ですが、家族がノートに書き止めておくなり、スマホの電話帳に登録してみるのも一つ方法だと思います。


最期を迎える前に葬儀屋の選定をしておくことは、究極の終活と言えるでしょう。
エンディングノートの最初に書いておくことは、葬儀屋の名前ですよ。

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