おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

なぜ死体はこんなに重い

ほとんどの方が出棺の時に棺桶を持ちあげると、「エッ」というお顔をされます。指先にかかる棺桶の重さにビックリされるのです。たいして大きくないお婆ちゃんやお爺ちゃんでも、ご遺体になり棺桶に横たわると、結構な重さを感じるのです。


人は生気が無くなると体重がいっぺんに増えるように感じるのは何故でしょうか。


約百年前、アメリカの医師ダンカン・マクドゥーガル博士は死の直後の体重の変化を調べたそうです。医師が行った実験の目的は、死後に肉体を離れていく魂の重さを割り出すためでした。博士は死後に失われる体液やガスも考慮に入れて入念に計算し、人間の魂の重さは21グラムであると結論づけたのです。21グラムの何らかの物体が、生気の失われた身体から出ていくのが実験で証明されたと発表しました。


この博士は1911年に再び「The New York Times」の一面トップを飾りました。今度の実験は魂の重さを計るのではなく、魂を撮影したと発表したのです。死んでいく患者を撮影して死の瞬間に人間の頭部から「星間エーテル」と言う光の塊が出ていくのを発見しました。


小さい子供を抱っこしている母親が「起きているときはそんなに重く感じないけれども、寝てしまうとずっしり重くなるのよ」と言っていました。


介護のスタッフが「寝たきりで意識のない患者さんを、動かすのは重くて大変、仕事のあとは身体が筋肉痛の重労働なのよ」と伝えてくれました。


救急車で運ばれた意識のない患者さんを手術台に移すには、お医者さんと看護師さんが周りを囲んで5~6人で移します。テレビの医療ドラマでよく見るシーンです。


急階段しかないお部屋からのご遺体運び出しで経験したことがあります。階段の曲がりの部分で担架がつかえてしまいました。やむなく「仏様を背負います」とおんぶをする形で背負いました。これが重たい。大人のおんぶは、される相手が落ちないようにしがみつくから出来るのです。


もう一度質問します。なぜ生気が無くなると体重がいっぺんに増えるように感じるのでしょうか?
ぐっすり寝込んだ子供や、寝たきりの人を持ち上げたときになんて重いのだと、感じたことがある方は多いはずです。


一つの仮説があります。生気、命、心、精神、生命力、言い方はいろいろありますが、意識があるときの人間の身体の中には、何か物体があり、それにはマイナスの重力が働くのではないかという説です。生気とは身体を軽くする浮力なのです。


ご遺体が見た目より重く感じるのは、生きているときの身体を浮かせていた「生気」が、無くなるからです。


「信じるか信じないかは、あなた次第です!」

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