おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

納得の葬儀屋を選ぶ為に

家族の死は突然来ます。ある程度覚悟していたと言われる方も、慌てふためきます。少し周りが見えてきて、やっと頭の中に現れるのが「お葬式」の言葉です。ひと昔前は、町内会や会社の総務課などが手伝ってくれましたが、現在のお葬式はすべてが葬儀屋を介して行われます。お葬式を行うご家庭を全面的にサポートする役割を果たすのが、葬儀屋の担当者です。一件落着した後に良いお葬式が出来たと思えるには葬儀屋の選択がとても大事なことです。しかし、亡くなった人の横で、葬儀屋選びにかけられる時間は決して長くはありません。


現在、どこの葬儀屋も、独自のサービスを打ち出しています。低価格をうたう葬儀とか、質の良い葬儀内容を売りするとか、さまざまな工夫をしています。ただ亡くなった段階で葬儀屋を選ぶということになれば、このようなメリットを比較検討する時間はほとんどありません。


やむなく、病室で紹介されて迎えに来てくれた葬儀屋にそのままお願いしたとか、ネットやテレビで知った会社に連絡したと言う方も多くおられます。そして、その方達の大半が「思っていたより金額は大きくなってしまった。リーズナブルな葬儀をあげてほしいというのが故人の希望だった」と後悔しています。悔いの残るお葬式はご遺族にとっても故人にとっても残念な人生のイベントになりかねません。


そのため、事前にしっかり地元の葬儀屋をリサーチしておくことが求められます。どの葬儀屋が高いか安いかということだけでなく、その葬儀屋の評判やプラン内容、方向性、設備の美しさ、使いやすさ、スタッフの質などを、時間のある時に、見学等で調べておくことをお勧めします。


それぞれの葬儀屋やスタッフによってお葬式の考えはずいぶん変わります。価格の安さばかりを売りにして火葬のみの葬儀を前面にする葬儀屋もあれば、お葬式とは「亡くなった人を想い、弔い、送り出す儀式」と捉え「通夜」「葬儀」「告別式」をきっちり行い、初七日法要や精進落としもサポートし、納骨、相続まで相談に乗る葬儀屋もあります。


宗教的な意味を大事にする葬儀式と、儀式を含まないお別れの場の告別式を別に考えてメリハリをつけるお葬式を勧める葬儀屋もいます。お葬式は、お通夜が重要な意味を持つと考える葬儀屋は、仏様の前で過ごす、夜の時間を大事にとらえています。


自分で思うお葬式の形を実際に施工してくれる葬儀屋を選ぶ為に、
「総予算をいくらまでなら払うことが出来るのか」
「どのタイミングで葬儀会社を決めておくのか」
「納得のいくお葬式の手順はどうなっているのか」
「必要となる内容はどのようなものなのか」
「事前にどのようなことを考えておけばよいのか」
などを考えておくことです。


皆さん、人生のイベントである結婚式には半年から一年の準備をします。同じく大事なお葬式も、慌てて簡単に決めないで、じっくり向き合ってください。

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