おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

利益は祭壇使用料で出す

お葬式を終えてホッとしたところで、おもむろに差し出されるのが請求書です。
「こんな金額聞いてないよ」と、ぼったくられるケースは少なくなったようですが明細書の中身を見ると良く解からない項目もあります。祭壇使用料とは何でしょうか。棺桶代金は亡骸に使用し、その後燃やすのですから請求されるのは理解できます。しかし祭壇は会場に備え付けでしたし、使いまわしですから料金の発生は納得出来ません。


仏式で行うお葬式では、ほぼ全員が白木祭壇を選びます。最初は花祭壇やオリジナルの祭壇を希望される方も、どうしても高価になる見積もりを出されると、最終的には無難な白木祭壇を選択します。儀式だからと葬儀屋が勧めるのも要因です。


皆様は、お寺の須弥壇やお家の仏壇は漆塗りや金銀の装飾で金ぴかで豪華なのに、なぜ葬儀の祭壇だけ装飾の無い白木(しらき)なのかと疑問に思われると思います。


白木で作る理由は、漆塗りや金銀の装飾がある祭壇だと、死亡を予定していて用意されたと思われてしまうからです。白木なら亡くなってから慌てて準備したので、塗料も塗っていないし、木を削ったばかりの急ごしらえだとアピール出来ます。戦前までは白木の木片で作った輿(こし)にお棺を入れて墓地まで運ぶ、野辺送り(のべおくり)という見送り方がありました。この白木の輿が形を変えて現在の祭壇になったと言われています。白木の祭壇は木の温もりの中にも厳粛な印象を与えます。そして儀式としてお葬式をとらえるイメージも強くなります。又、皇室のご葬儀の場合が神式の白木壇を用いていたので、それを一般化したとの説もあります。


祭壇の作りは、上部に置く輿とその下に3段程の段で出来ています。段は前板、天板などに分かれています。そのほかにも装飾の提灯や供物台などが飾られ、白木祭壇として組まれています。


葬儀屋が白木祭壇をやたら推してくる理由として、減価償却が終われば、次からは使いまわした分だけ利益になるからです。現代のように豪華な祭壇が使われるようになったのは葬儀屋が利益を出すためとも言われています。


祭壇使用料とか会場使用料には、祭壇の供物などの飾りつけ費用や祭壇のレンタル費用も入っていることもあります。そして一番費用がかかる人件費なども含まれていることも多いのですが、どうしても世間の常識に比べて割高な設定をしている葬儀社もあるようです。


請求書の項目で会場とか祭壇などの使用料は葬儀費用の不透明さの象徴のように言われてもいます。
請求書の金額が疑問なく満額で貰えるよう、本日も全力で仏様に向き合います。

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