おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

天理教は神式の葬儀です

お葬式の宗教は9割以上が仏教ですが、それ以外にも神式、キリスト式、創価学会、エホバの会、そして天理教などがあります。天理教は教派神道の一つです。神道に近い宗教でありながら、日本古来の神道の考え方と大きく異なる部分もあります。


もっとも大きな違いは、「死」を「出直す」と捉えることです。天理教では現在の身体は神から借りているものだと考えます。そのため、葬儀は「借りていた身体を神に返し、新しい身体が見つかるまで自身の魂を神に預かって頂くための儀式」になります。


天理教では「亡くなる」という言葉は用いず「出直す」という言葉を使います。又「命日」という言葉も使われず、その代わりに「出直し日」といいます。葬儀において、お悔やみの言葉を使わないのは、天理教の大きな特徴だと思います。


お通夜は、「御霊遷し(みたまうつし)」と呼ばれます。天理教においてとても重要な儀式になります。御霊とは魂のことで、「今まで使っていた身体から自身の魂を取り出す」という意味から名付けられました。


大事な儀式の進行はこのように進みます。最初に齊主と斎員の入場です。後方から順に入場されます。参列者全員が頭を下げて迎えます。最初に「祓詞(はらえことば)」が奏上されます。次に「うつしの詞」が奏上され御霊遷しの儀式が行われます。霊璽(れいじ)と呼ぶ覆いのついた角形の白木を持つ斎主が棺桶に近づきます。この時に会場内の照明をすべて落とします。当然真っ暗な中で儀式は進行します。


照明がつくと、「玉串奉献(たまぐしほうてん)」に移ります。玉串とは榊のことです。玉串を斎員から受け取ったら、左手に葉側がくるように両手で持ちます。そのまま祭壇の前へと移動し、玉串の葉側が祭壇に、枝側が自分に向いた状態で一礼します。
次に玉串の左右を逆にして持ち、玉串を時計回りに回します。そして、枝側を祭壇に向けた状態で玉串台に献じます。


玉串奉献を行った後に参拝をします。天理教では、「二礼四拍手一拝四拍手一礼」がマナーとなっています。なお神教では拍手のときに音を立ててはいけない「しのび手」とされていますが、天理教では音を立てても問題ありません。


最初に祭壇の前で2回軽く礼をします。次に拍手を小さく4回うちます。その後1回深くお辞儀をします。その後拍手を4回うち、最後に1回軽く礼をします。「礼」は30度位の軽いお辞儀で、「拝」は最敬礼の90度位の深いお辞儀のことです。


葬儀屋の仕事の一つが、いろいろな宗教を知ることです。それぞれの宗教の考え方を詳しく知るほどに、魂とか来世とかが、解らなくなります。


人々は、現生の迷いや、来世の希望を作り出すために沢山の宗教を考え出しました。
宗教と我々は、この先どのように進むのでしょうか?

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