おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

お墓参りに行きましたか

お盆は、サンスクリット語のウラバンナを音読みにした盂蘭盆会(うらぼんえ)からきた仏教用語です。亡くなった先祖や家族を供養する期間になります。ほとんどの方はこの時期にお墓参りに出かけます。亡くなった方が極楽から帰って来るからです。


お墓参りに気を付けてほしいことがあります。持ち物は、生花、線香、ロウソク、お供え用のお菓子や飲み物、それを置くための半紙、数珠、ライター、花バサミ、スポンジや雑巾、箒、シャベルなどの掃除用具、柄杓、手桶、ゴミ袋などです。
柄杓や手桶などは霊園では備えてありますが、お寺の境内墓地や集落の共同墓地などでは 用意されてない場合が多く、持って行ったほうが安心です。


境内墓地ならお寺に着いたら、先ず本堂のご本尊をお参りしてご住職に挨拶します。
霊園では管理事務所などで手桶と柄杓を借り、水を汲んでお墓に行き、合掌してから墓地の掃除を始めます。草むしりや枯れた花を持って帰るためのゴミ袋も忘れずに持参します。 墓石の掃除に、たわしでゴシゴシこするのは石を傷つけますから止めてください。スポンジやタオルを使います。周りには雑草や落ち葉が散らかっています。自分のお墓と同様に周辺を綺麗にすることも、先祖への供養となります。作業が終わったら、お掃除に使う水とは別の水を汲んで、綺麗にしたお墓に、たっぷりとかけてあげます。


花立ては、ねじ式で埋め込まれていますから捻ると墓石から外れます。汚れがこびり付いているので、古いブラシを持っていくと便利です。底の方の水垢を綺麗にするとお花が長持ちします。鋏でバランスを整えた花を飾り、お供えのお菓子や飲み物を、半紙を敷いた上に置きます。故人が好きだったからとお酒をかける人がいますが化学変化で変色し、シミになりますからすすめません。


線香に点火して香炉に立てるか、線香皿に横に寝かせます。点火には風よけのついた風防ライターを使うと便利です。故人にはお線香の香りがお食事です。線香の煙は、お参りする方の気持ちを静め心穏やかにする効果もあります。


お参りの順番は故人と縁の深い者から始めます。正面に向かい合掌して、冥福を祈り、感謝の気持ちや、報告したいことを語りかけます。全員の合掌が済んだら花と線香以外はカラスなどに食い散らかされないよう必ず持ち帰るか、その場で食べても良いと思います。地域によっては故人を偲びながら、お墓の前で飲食する風習が残っています。


お墓は不要と考える人もいます。樹木葬、海洋散骨でお墓を持たない考えもあります。しかし、お墓にはお骨を納める以外にも、先祖の冥福を祈り、先祖より与えられた命であることに感謝し、家族の幸せを祈る場所でもあるのです。


受験や進学、就職や結婚、妊娠や出産等の人生の節目に、お墓の前に立った経験はどなたもあると思います。あなたはお墓参りに出かけましたか?

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