おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

悩む子供のドレスコード

お葬式の打合せの中で良く受ける質問があります。「子供に何を着せて参列させたら良いのでしょうか」と言う内容です。お葬式は久しぶりに会う親戚同士が集う場です。しばらく見なかったお子様のお披露目の会場でもあります。お母様方にとっては自分の子供を、どのように親戚一同に発表するかは大きな問題なのです。


簡単に決めることが出来るのは中学生や高校生の場合です。学校の制服を着ると正式な喪服と認められます。一般葬の時は立礼に学生服で並ぶお孫さん達を良く見ました。男子は詰め襟かブレザー、女子はセーラー服かブレザーにスカートという組み合わせでした。学校によっては多少カラフルなデザインもありますが、制服と分かる服装であれば許されていました。ところが、この頃は学生服を定めていない学校も多くなりました。それで皆さま悩むようです。制服が無い場合は出来るだけ目立たない色の、落ち着いた服装を選びます。たとえば男子であれば白いシャツに黒いパンツの組み合わせ、女子であれば黒か紺のワンピースという具合です。足下はスニーカーでも構いません。ただしカラフルなものは避けてください。靴下は黒にすると立礼の時に見た目が良くなります。


小学校、幼稚園、保育園などで制服がある場合は着せて参列が無難です。しかし派手な色のリボンやネクタイがついている場合は、お葬式ですから外しておくのも一考です、制服がない場合は黒やグレー又は白などの控えめな色味とデザインの服装を選びます。男子の場合は白シャツとズボン、その上にベストやブレザー、女子の場合はワンピースや、白シャツにスカート、その上にカーディガンかブレザーなどが一般的です。控えめな色味の服であっても、金具が目立つ服やエナメルなど光沢の強いものはふさわしくありません。アクセサリーや髪留めなども目立つものは避けてください。まだ小さい子供は、慣れない環境でも快適に過ごせるように履き慣れた靴を選んであげることも大切です。


赤ちゃんの場合も出来るならお葬式の場にふさわしい落ち着いた色味とデザインの服が無難です。黒、グレー、白などが好ましいとされています。多少の絵柄はマナー違反にはあたりませが、派手な柄やキャラクターが目立つ服などは避けた方が良いでしょう。可能であれば靴下は履かせておくと気を使っている印象になります。読経中に寝てしまう赤ちゃんもいます。抱っこ紐の準備もしておくと安心です。


乳幼児の場合は予期せぬお漏らしや食べこぼしなどがあります。必ず予備の着替えを用意しておくと安心です。予備の服を何枚も用意するのが難しい場合は、スタイ(涎掛け)や食べこぼし防止のエプロンを持参してから参列します。


慣れない場所や雰囲気に子供が泣きだすとか、愚図ってしまうことが考えられます。慌ただしいお悔やみの時ですから、お腹が空いたタイミングで食事が取れない可能性もあります。通夜振る舞いや精進落しなどの会食に参加する場合も、子供が食べられる料理があるとは限りません。お腹が空いて愚図ることの無いよう、手軽に食べられるおやつやパンなどの軽食を用意しておきます。


ユニクロには子供向けのお葬式の服があります。しかし、お葬式では特に子供服の服装ルールは求められません。服装より大事なのはふるまいなのです。

×

非ログインユーザーとして返信する