おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

葬儀費用を安くするには

大部分のお葬式が家族葬になりました。家族葬の一番の利点は「費用を安く抑えるお葬式」といわれています。ところが、思ったほど安くはないと感じる方が大部分です。参列者が少なくなっても、お寺のお坊様を呼んで葬儀式を行うと、どうしても必要な備品や施設が必要です。その部分は一般のお葬式と変わらないので、ある程度の費用が掛かります。そして、それなりの金額が請求されるのです。


それでも出来るだけ葬儀費用を安くする方法を教えてくれと言う相談を受けます。通常の価格から1~2割安くする方法があります。それが生前予約です。お葬式を頼む葬儀屋を決めておいて「イザと言うときはお宅に任せる」と契約しておくのです。お葬式の内容を事前に相談しておくことで不要な費用が掛かりません。また、生前予約であれば故人の要望を反映させることもできます。そして早期申込や事前予約をしておくことで、ほとんどの葬儀屋は1割以上の割引とか、病院からの搬送無料の特典をつけてくれます。


少人数の家族葬ならば通夜と告別式の二日葬ではなく、通夜を自宅で行い告別式だけを葬儀会館で行なう一日葬にする方法もあります。一日葬にするのも費用を抑えるためには効果的です。単純に「一日葬が安い」と決めるのではなく、お寺様と相談をするなり家族親戚で話し合って検討をしたうえで選択することが大切です。


お通夜を自宅で行えば、お金が掛かる通夜振る舞いが無くなります。葬儀会館でのお通夜には、予定していない弔問のお客様も来られたりします。聞きつけたご友人方や訃報を知ったご近所の皆様です。来られると通夜振る舞いの費用が掛かります。飲食費は結構高価です。近頃は会食を行わないお葬式も増えています。一人1万円の精進落としで持て成さないなら、その分が節約になり費用削減の選択肢になります。しかし食事を楽しみにしている親戚もいることを忘れないでください。


初めてのお葬式で喪家様が驚くのがお寺様へのお布施と呼ばれる寺院費用です。枕経、通夜告別式、火葬炉前勤行、初七日の読経や戒名授与のお礼として、宗教者に渡すお金です。お寺の格やお坊様の位によっては、御車料や御膳料が請求されます。お布施は喪主様から直接お坊様に渡すため、葬儀屋の見積りには含まれていません。必要な費用として最初に確かめておくことをお勧めしています。一概にいくらとは言えませんが、20万円前後のお寺が多いです。家族葬を無宗教葬にすればお布施は必要ありません。葬儀備品も削減できます。結果、随分安く出来るのです。


お葬式を頼む葬儀屋を決める前に、その葬儀屋の評判を調べておくことも大切です。インターネットのレビューを読むとか過去にその葬儀屋を利用した人々から聞き取り判断をします。一生に数度のお葬式です。支払い金額よりも家族の要望を反映するために、どれだけ柔軟に対応してくれる葬儀屋かも、後の満足度に繋がります。


これらの要素を考えて、家族全員が納得するお葬式をおこなって下さい。費用を安くすることも確かに大事な事ですが、適切な葬儀屋を選ぶことによって、金額の削減と、旅立った家族を弔う満足度の高いお葬式が出来るのです。

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