四十九日法要までが忌中
宗教離れが進んでいます。ですが、まだお坊様を呼ぶ仏教形式のお葬式は多く行われています。一連の流れでお坊様が御経を読むタイミングは5回あります。最初に安置されたご遺体の枕元であげてくれるのが「枕経」です。その作法が終わるとお葬式の日時の確認やお坊様の人数、戒名のランクの決定などが話し合われます。お通夜当日は「通夜経」翌日の告別式は「引導作法の儀式」が行われ阿弥陀経や般若心経等が多く唱えられます。出棺後火葬場まで同行し「火葬前勤行」が行なわれ、骨上げの後に行われるのが、本来は七日後の「初七日法要」です。参列者の負担を無くすため同日で行われるようになりました。
初七日の後は順に二七日(ふたなのか)三七日(みなのか)四七日(よなのか)五七日(いつなのか)六七日(むなのか)と進んでいきます。故人が極楽浄土へ行けるように7日毎に祈念する大事な法要です。この時期、故人はまだ霊として死後の裁きを待っている状態と考えられています。7日毎に7人のお釈迦様に会い三途の川を渡り閻魔大王の裁きを受けるのです。
この期間は残された家族も慎み深い生活を送るように言われます。故人が仏として成仏するかは、残された家族の対応にかかっています。亡くなられた日から四十九日が経過するまでの期間を「忌中」と呼びます。忌中の間は、家の門を閉じ外部との接触を断ちます。神事や祝い事、公の行事などへの参加も避けます。家族は喪服を着て食事は魚や肉を絶ちます。当然お酒も飲んではいけません。精進料理のような食事をして心穏やかに故人のあの世での幸せを願うのです。毎日身辺を清め、葬儀屋が作ってくれた後祭り祭壇に向かい、灯明と線香を絶やさないようにします。毎朝、新しいお水に変えてあげるのも忘れないでください。忌中は、故人の安らかな眠りを願うだけでなく、遺族の気持ちを整理する期間でもあります。又、葬儀後の手続きや法要の準備など、やらなければならないこともたくさんあります。七七日(なななのか)は「四十九日」とも言います。この日に故人に対して最後の裁きが行なわれます。家族に悼まれ功徳を積んだ故人はこの日をもって仏に生まれ変わり極楽浄土へ迎え入れられるのです。四十九日までが忌中です。亡くなってからこの日までは故人が仏となれるように、送り出した家族も仏様と同様の修行の生活を送ります。
四十九日を過ぎると忌明けと呼ばれます。この後の法要は年毎に行うので「年忌法要」と呼ばれます。この年忌法要の数え方が少しややこしいので注意が必要です。亡くなって丁度1年が経つ忌日は「一周忌」の法要を行います。一周忌の注意点は数え年ではなく満1年に行うという点です。一般的に一周忌までは「喪中」と言い一周忌を過ぎると喪が明けたと言います。「喪中のため年始のご挨拶を失礼いたします」という年賀欠礼の挨拶は、この期間だから必要なのです。一周忌の次は「三回忌」です。一周忌以降の年忌法要は数え年で計算するからです。数え年とは出来事が起こった時を1年目と考えます。それ以降1月1日を迎えるごとにひとつ年を重ねていきます。ですから、故人が亡くなった年は数え年では1年目なのです。一周忌は満1年の節目で数え年では2年目にあたるので「一回忌」ではなく「一周忌」と呼びます。三回忌とは数え年の3年目ですので三回と言えるのです。皆様は一周忌の翌年に三回忌を行うと覚えてください。
三回忌・七回忌・十三回忌・十七回忌・二十三回忌・二十五回忌・二十七回忌・三十三回忌で成仏すると言われます。三十三回忌は「弔い上げ」とも呼ばれ、故人が完全に成仏したとみなし、以降は先祖供養と一緒の法要なります。
現在は忌中の過ごし方を守る人もいなくなりました。そしてお寺とのお付き合いも薄れ、法要の知識を知る人もいなくなりました。昔の人は、信心深かったと改めて思います。