おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

自分らしいお葬式をする

お葬式のスタイルが変わりました。家族と親戚だけで見送る「家族葬」がほとんどになり、大勢の参列者が集う「一般葬」と呼ぶお葬式は少なくなりました。高齢者は増えるのに核家族化が進みます。ご近所付き合い等の地域の繋がりも見られなくなっています。宗教を信じる人も少なくなり、お坊様を呼ばない「無宗教葬」のお葬式も増えてきています。終活ブームと言われ人生の最期に興味を示す人が多くなった現在です。そうなると今までの考え方を破る個性的なお葬式を望む方も見受けるようになりました。元気なうちに自分の理想のお葬式を設計して「自分らしい最期の儀式」に向けた準備を始める人も出ています。


弊社でも「故人の希望したお葬式を」と言われて準備をする事も多くなりました。例えば出棺の時に故人の希望した音楽を流すお葬式などが挙げられます。故人が聴くことは叶いませんが参列者の皆様が聞こえた瞬間に頬がゆるむのを見ると、きっと故人も喜んでくれると思うのです。過去ブログでもハワイアンバンドの調べやピアノ演奏そして22年11月のブログでは家族のカルテットで送り出した音楽葬も綴っています。


お葬式で一番目立つのが祭壇です。参列者が全員見上げる遺影が飾られ棺が置かれます。パンフレットを見ながら「私の時はこういう祭壇がいいな」と言われる方も多くなりました。又、祭壇まわりに飾る花の種類や色を決めて「自分らしさ」のイメージを出す人もおります。白い花は清純さや誠実さ、ピンクは優しさ、黄色は可憐さ、紫は上品さ、青は重厚なイメージを出します。飾り花の色を決めておくと本人らしさが出るとも言われます。


自分で棺桶を決めてみませんか?葬儀プランの棺は白い布張りのシンプルな棺が多いです。パンフレットを見るとお仕着せの棺桶の他にもたくさんの種類が見つかります。もしかしたら事前に「私が入るのはこの棺にしたい」と言えるのがきっと見つかるかもしれません。


演出についても自分らしいお葬式にすることが出来ます。「出棺の時に棺桶に入れて欲しい物リスト」とか「この衣装を着せてもらって旅立ちたい」「孫にお別れの手紙を読んでもらいたい」「火葬場に行く前に寄ってほしい場所がある」などがありました。


ここまでは「自分のお葬式でしてほしいこと」でした。ですが、これを実行するのは自分自身ではありません。飾り花の指定などは時期的に不可能な場合もあり、又、金銭的負担が多くなり家族が諦めたりすることもあります。


視点を変えて自分らしいお葬式に「してほしくないこと」を具体的に伝えることを考えてみては如何でしょうか?オリジナルのお葬式を望む人は「これが嫌だから、従来のお葬式はしたくない」という願いを持つ人が多いのです。


多くあげられるのが「宗教は信じていないのでお坊さんを呼ばないで」「高価なお布施は絶対払わないで」など仏式葬儀を断るのも自分らしいお葬式になります。残された家族も「故人の遺志なら」と納得しやすいのです。「わざとらしいお涙頂戴の演出は避けて」と言われるなら、告別式の司会はさりげない文章で進行していきます。


このように「して欲しいこと」「して欲しくないこと」を伝えるのも自分らしいオリジナル葬儀したいときに伝えるコツです。自分のお葬式を、理想の形にして旅立ちませんか。

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