おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

後悔する高価格のお葬式

このブログはお葬式を綴っています。死んだ後の話など縁起でもないと言わないで下さい。どなたも、一生に一回はご自分のお葬式を含めて経験されるのです。現在、核家族化が進み高齢者と一緒に暮らす家族が少なくなりました。家族葬になり弔問の経験も少なく、まして喪主としてお葬式を施行された人はほとんどおりません。いざと言う時に、向き合うお葬式の様々な知識を持つ方は大変に少ないのです。


身近な人の死は突然にやってきます。心積りをしておいても、いざとなればあわてるものです。悲しみにくれる間も無く、葬儀屋との商談が始まります。親族からの電話が次々とかかる中でお葬式という買い物は時間の制約を受けながら、次々と決定されていきます。出されるパンフレットを検討する余裕はありません。世間相場も解かりません。それなのに祭壇、棺、骨壷など何万何十万という品物を次々と選ばなければなりません。ともすれば「中の上で」とか「お任せします」となりがちです。それが高額な請求に繋がります。


高額のお葬式になるパターンがあります。突然の連絡に何も考えられずに病室に着き、言われるままに病院が提携している葬儀屋を紹介されそのまま依頼します。安置室で泣くこともできず頭の中が真っ白になった状態で、担当者はすぐに打ち合わせを始めます。名ばかりの打合せは金額の話は出ません。決めるのは日程だけです。たまらず「用意もあるので大体いくら位になりますか」と聞いてみますが、次の言葉が返ってきます。「お葬式は終わってみないと金額はわかりません。大丈夫ですのでお任せください」そう言われて「今は何も考えられないから任せるしかない。相手はプロなのだから」と納得させて葬儀屋に丸投げするのです。この流れが総額200万超えの後悔する高価格のお葬式に繋がります。決して安い買い物ではありません。お葬式は「考えが及ばない究極の衝動買い」なのです。


これを避けるにはどのように行動すれば良いのでしょう。イザというときに残された家族が大きな散財をしないためにも、日頃からお葬式について考えてみてはいかがでしょうか。旅立つ人がどのような別れを望んでいたのかを知るだけで無駄な出費が省けるのです。


出来るなら機会を見つけて、地元で長く続いていて評判の良い業者を見つけます。家族葬向けのホールを持っている葬儀屋なら小さいお葬式も手を抜かずにするはずです。もし可能でしたら体験会とか無料相談会などにも足を運びます。対面した担当者が、話し合いで明細を提示し説明して、質疑応答にも丁寧に答えてくれるなら合格です。


突然の事で病院から紹介された業者を使う場合は、まず運ぶだけをお願いします。病院や自宅で地元業者をネットで探し「20名程の家族葬ならいくらぐらいかかるか」と尋ねてみます。具体的な金額が出ると良いのですが、葬儀屋側としては終えてみないと断言できない物もあります。そこで、言い方を「全部合わせて80万円以内でお願いしたい」と伝えるのも一つです。金額と内容が決まっていれば、良心的な葬儀屋は努力してくれます。


当然ですがパンフレットを見せられると祭壇も棺も最低と最高では価格が大きく違うことが解かります。お任せにしてしまうと、葬儀屋としては高額な品を勧めます。見比べるから価格の低いものが貧相に見えるのです。中間の価格の棺を選び高価な棺は最初から見なければ見劣りする気持ちにはなりません。


お葬式に高価格の金額がかかり、散財に後悔する人は多いのです。せっかくの老後資金を無くさないためにも元気で丈夫なうちにお葬式にかけるお金を考えてみてはいかがですか。

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