おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

葬儀屋はボッタクリなの

葬儀業界でよく言われるのが「この業界はボッタクリの仕事と思われている」です。ボッタクリの意味とは何でしょうか?「ボッタクリ」の言葉は「暴利」からきています。法外な料金を請求されて泣く泣く払うとか、力ずくで金銭を奪い取られることを表します。


飲食業や風俗業で、サービスの後で異常な上乗せ料金の請求が代表的なボッタクリだと言われます。キャバクラで高額なボトルが注文しないのに出てくるとか、延長確認を遅らせて強制延長にして高額料金にします。前金を受け取った後に充分なサービスをしないでお客を追い出すのも常套手段です。このように料金を正確に表示せず、お客に価格確認させないのがボッタクリの店だと言われます。


悪徳商法や訪問販売、そしてキャッチセールスも消費者に無料や低額の説明をして契約させ、契約後に入会費や手数料の名目で法外な料金を請求するのでボッタクリと言われます。


海外旅行で観光客へのボッタクリもよく話題に上がります。東南アジアではタクシーメーターが無いとか価格交渉をするのが一般的なため、相場を知らない外国人に法外な価格を提示します。タクシーメーターがあっても不当な方法で課金をするとかメーターを隠すことで高額な料金を支払わせることもあります。わざと遠回りすることで通常より長い距離を走って稼ぐなどは日本の運転手も地理を知らない客にはしていると言われます。


さて、このお葬式の仕事はボッタクリと言われる仕事なのでしょうか?確かに、過去の先輩諸氏の仕草を見てきた身から答えると、正直なところ肯定も否定も出来ません。私の答えは、ボッタクリというより内容の説明不足が大きな要因だろうと思えるのです。


例えば、棺桶の原価は誰も知りません。最安値は中国産が1万円前後で葬儀屋に納品されます。それを5万から10万で売りつけます。ボッタクリです。しかし、棺桶だけを運ぶのではありません。その後納棺式と呼ぶ作法に則った仕草で仏様を綺麗に飾ります。いわば「納棺代」と言う技術料が多くを占めています。日本はこの職人の技術料をあまり評価しませんでした。ですから「何故、棺桶がこんなに高価なのだ」とクレームも出ます。


祭壇料とか会場使用料も「使いまわしなのに可笑しい」と言われます。この代金の大部分が深夜や早朝でも必ず出る電話に待機している人間の人件費です。知らない場面で働いている人間には興味がないので、貸し出すだけで高く取りすぎのボッタクリとの声が出ます。


葬儀屋にパンフレットにある〇〇プランには肝心な火葬料が含まれていません。火葬にかかる料金は地域によっては住民なら無料の場合もありますし市外の居住者には法外な料金になります。火葬料は金額が均一ではないため葬儀代の「直葬、火葬式プラン」の価格には火葬料金が含まれていないのです。請求書を貰い、始めて火葬料と言う追加料金の表記を見つけて明朗ではない価格体系に不信感をいだき「ボッタクラレタ」と言います。


葬儀代と言うと「お葬式の代金がすべて含まれている」とに思う人が多いのですが、価格不透明のお布施も必要です。価格表示を出さないお布施も葬儀代金の不信感を増す要因なのです。
ほとんどの方はお葬式に参列する機会はあっても支払う側になる経験はありません。この業界もだいぶ改善されていますがまだボッタクリと言われる日が続くのです。

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