おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

小さなお葬式の問題点は

インターネットで「お葬式」を検索すると検索上位に必ず出てくる葬儀屋があります。テレビCMも良く見ます。NHKのテレビ番組でも取り上げられたこともあります。ホームページを開くと安価で明瞭会計と書いてあるし手軽に申し込みが出来る点も魅力です。それが「小さなお葬式」です。過去ブログでも何度かあげましたが、この会社は葬儀屋ではありません。葬儀屋斡旋業者なのです。そして結構トラブルも耳に入ってきています。


「小さなお葬式」は葬儀社を経営しているのではありません。電話を受けるオペレーターだけが在籍している事務所です。ですから全国どこのお葬式も引き受けますと言えるのです。実際にお葬式を行うのは、この会社と契約している葬儀屋が請け負うシステムです。全国各地の紹介手数料を支払っても受注したい一部の葬儀屋を順番に仲介する会社です。


今回の話は葬儀屋同士の噂話ですから真偽のほどは解りません。ですが実際にあっても可笑しくないといえます。この話だけで小さなお葬式を全面否定するわけにはいきません。実際、小さなお葬式で施工されて、結果満足だったと言う方も多いと聞きます。


病院で祖父が亡くなった喪主様はネットで見つけた「小さなお葬式に」に電話をかけて「小さな一日葬」プランを30万弱で申し込みました。そして病院からの搬送を依頼しました。遺体の搬送代はプランに入っていたのにも関わらず、病室に来た担当者は「夜間料金と待ち時間と遠方料金が追加で少々かかります」と言ったそうです。喪主様としては「確かに手間はかかるのである程度仕方ないのかなあ」と思いましたが、その後の対応で不信感が湧いたそうです。来た担当者は「待ち時間30分ごとに2万円かかります」と言ってきたのです。そんな話は聞いていないしプランにも書いてありません。病室では看護師さんが「搬送にはまだ準備が整っていません」と言うので待合室で待つしかありません。終わる時間が決まらないのに葬儀屋を呼んだミスかも知れませんが、待ち時間の追加料金は完全なボッタクリに近い請求です。2時間待たせたら8万円追加されるのです。ビックリして「小さなお葬式に」電話をすると「こちらは紹介だけですので担当者と話してください」と断られたそうです。ストレッチャーを押してきた若者に、再度「プランの料金でお願いします」と頼んだところ「追加料金5万円で搬送します」と言い換えて来たそうです。


もう一つ例を挙げます。打合せでプランにお寺の読経がついていないことに気がつきました。やはり「御経をあげて欲しい」と電話口で依頼したところプラス11万円で「お坊さんプラン」と言うお葬式に来てくれるお坊さんを用意してくれることになりました。11万のお坊さんプランにはお葬式の御経一式と白木位牌が入っています。読経内容を調べてみるとお坊さんプランにお通夜の読経が入っていないことに気づきました。追加をお願いしたら10万円かかるとの答えです。「お通夜だけで10万は高い」と話したところ「少し安くしておきます。お坊さんプランと併せて20万でいいです。直接お坊さんに現金で払ってください」とオペレーターが値引き交渉をしました。当日やってきたお坊様は長髪で若く御経も棒読みでつかえながら唱えて、まるで素人のバイトのようです。お寺の場所も明確にしないし、この人は本当に坊さんなのだろうかと疑問が湧いたそうです。


皆様の勘違いは「小さなお葬式が実際の葬儀してくれる」と思いこむことです。電話先はオペレーターだけです。お葬式を施工するのは提携先の葬儀屋です。それも低価格を前面にうち出す一部の葬儀屋です。
どうしても内容や対応の良し悪しにバラツキが見受けられるのを覚悟してください。

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