おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

お悔やみの言葉は難しい

お通夜やお葬式に参列した皆様が、挨拶の時に必ず口にするのが「ご愁傷様」です。この言葉は、大切な方を亡くしたご遺族にかける「お悔やみ言葉」のひとつです。ご愁傷様の「愁傷」は「悲しみに寄り添います」「嘆き悲しんでいます」「あなたを心配しています」などの意味になります。しかし、ご愁傷様は相手に失礼に当たると考える人がいるとの記事を見つけました。その理由は、近頃の使い方で「不運な出来事が起きた相手に対して、皮肉や同情の意味をこめて使われるケースもあるため」と解説されています。確かに、仕事中にミスをした相手に「ご愁傷様」と声をかけた若者も見ています。そのような意味で使われる言葉ですから、お葬式の場で使うのは失礼にあたると考える人もいるのです。


ですが本来の「ご愁傷様」は悲しみにくれるご遺族へ気持ちを伝えるために用いる言葉です。お葬式でご愁傷様との言葉を使ってもなんの問題もありません。それでも「ご愁傷様」だけでは誤解を招くとお考えの方はその後に付け加えてみるのも良いと思います。たとえば「心から追悼の意を表します」「お悔やみ申し上げます」「この度は残念でなりません」などと話すだけで、相手に寄り添った丁寧なお悔やみの言葉になります。


お悔やみを伝える時は「忌み言葉」にも注意してください。忌み言葉とは縁起の悪さや死を連想させる言葉のことです。「死んだ」とか「死亡された」といった直接的な表現も避けてください。亡くなる事を表す言葉は「ご逝去」です。又、出来事が重ならないように「重ね重ね」「くれぐれも」「再び」などの重複をイメージする言葉も使わないでください。このような言い方は、人が亡くなる不幸が続くことを連想させます。これらの点に配慮しながらの会話が、故人の尊厳とご遺族の方の気持ちに寄り添った時間を作ります。


参列者と喪家様の会話の中で避けて欲しいなと思う事があります。「なぜ、亡くなられたのですか」は、興味本位と受け取られかねない不躾な質問です。特に、若くしての難病とか、突然に事故死、そして自殺死などは、家族としても話題を避けたいと思っています。病気なら問題ないと考える人も多いのですが、闘病中のつらい経過をあらためて思い出させる話を、参列者の方から始めるのは避けてください。


「大往生でしたね」といった参列者から決めつける言い方にも疑問を持ちます。いくら高齢で寿命が来たと言っても、人間が死去する時期を勝手に決めるのはおかしな話です。家族が「大往生でした」と言うのと、他人が「大往生でしたね」と言うのは意味が違います。
その他にも、ご遺族に「元気を出してください」「頑張ってください」という励ましの言葉をかけるのも、心の負担になりかねないと思います。


参列した時に、ご遺族と初めて顔を合わせる時は、故人との関係をきちんと伝えてください。生前の故人と親しくお付き合いをしていても、喪主やご家族とは初対面だというケースはよくあります。特に仕事関係や趣味、友人関係などは、家族は知らない場合が多いのです。
ほとんどの方は「お焼香をすませたら、挨拶せずにすぐに失礼する」と考えるようですが、後から記帳を確認したご遺族が「この方はどういう関係の方だろう」と頭を悩ませることにもなりかねません。この事態を防ぐには喪主やご家族へ「このような事情で、故人と親しくさせていただいておりました」と、一言お伝えすると良いでしょう。
それだけで記帳された名前と人物が一致しますし「お葬式に参列していただけるような強い絆を持つ人間関係が故人にはあったのだ」と、喪主や家族の気持ちが癒されるのです。

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