おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

フューネラルて何ですか

ムラゴンの皆様のIDネームには、素敵なお名前や凝ったお名前だと感心させられることがあります。この「おくりびとの日記」のIDネームは「フューネラル」を名乗っています。見つけてくれた皆様の中には「フューネラル」とはなんですか?と思われた方もおられたようです。カタカナ用語が世の中に氾濫していても聞きなれない言葉です。「funeral」と書く「フューネラル」とは「お葬式」の英単語です。


葬儀屋と言う職業を言い表す英語は「mortician」「モーティシャン」になります。「おくりびと」と言うような俗語の言い方もある様でアメリカでは「ブラックコート」イギリスでは「アンダーテイカー」とも呼ぶようです。「I work at a funeral home」と言うと「葬儀屋で働いています」と通じます。


このフューネラルの文字を多く見る機会があります。毎年一回開かれる「フューネラルビジネスフェア」です。6月に横浜で開催されます。変わりゆく社会のニーズに対応する葬祭サービスとライフエンディングをサポートする、葬祭事業者および関連事業者のための総合展示会&シンポジウムです。興味のある方もおられるでしょうが、残念ながら商談会ですので関係業者だけの入場と聞いています。


会場内にずらりと並ぶ祭壇,棺,骨壺,位牌,線香-蝋燭,仏衣,盛籠,霊柩車など圧巻です。普通の人は見たこともない位牌や塔婆の文字彫刻機などの機械もあります。生花祭壇装飾,輸入切花,造花やプリザーブドフラワーも飾られています。ギフト,遺影写真加工システム,写真額縁-写真立て,会葬礼状も並びます。遺体処置,遺体保冷庫,納棺-湯灌サービス,エンバーミングも人気があります。もちろん仏壇,墓石も展示されていますが、この頃は手元供養品として小さい骨壺,遺骨ペンダント,遺骨加工型アクセサリ―が展示されます。そしてペット葬儀も大きなブースです。ペット用祭壇,ペットの仏壇,移動火葬車,ペット用の墓石などが展示されています。


近頃は環境問題が良く取り上げられます。葬儀業界でも火葬時間の短縮と火葬炉に負担をかけないで焼却できる素材の開発が飛躍しました。特に棺桶の素材も進み、早く燃え尽きて煙の出ない素材に改良されています。


目を引いたのは、亡くなった方に着せる衣装「仏衣(ぶつい)」のカラフルなブースです。以前は「死装束」と呼ばれる白い着物の旅姿だけでした。最近はスーツやモーニング、王様のような洋服やお姫様が着ているプリンセスドレスなどを模した死装束が出ています。来世で新しい出会いを求める奥様にはウエディングドレスもあります。少し前までは納棺の時に自前のスーツや着物と帯を出される方もいましたが、焼却に時間がかかると火葬場から指導が出て、着せるのが難しくなってきています。お葬式には家族や親戚そして友人達も集まります。最期に貴方が着せられる衣装はとても大事です。外出時には「何を着ていこうかな」と考えます。同じように自分のお葬式の衣装を決めませんか。「仏様の衣装が素敵でしたね」と言って貰えたら嬉しいと思います。


しかしこの衣装には皆様に隠しているセールスポイントがありました。それは「あっと言う間に火がつきすべて燃え尽きます」なのです。火葬炉に負担をかけずに短時間で焼却できる衣装なのです。くれぐれもこの衣装を着て、タバコを点けたり、台所に立たないでください。綺麗な衣装を選びながら「あっという間に火がついて焼死体が一丁出来上がる」と不謹慎な考えをしている私でした。

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