おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

訃報の連絡をいつするか

突然、家族が亡くなると直ぐに考えなければならないのがお葬式の事です。そして皆様は連絡に結構苦労されています。初めて経験するお葬式の「訃報連絡」をどのようにすれば良いかを迷われる方が多いのです。大きく分けると連絡のタイミングは3回あります。そして、それぞれで伝える内容も変わるのです。


1回目は、亡くなる前か亡くなった直後のタイミングです。死期が近づくと入院している病院から容体が悪化した等の連絡が入ります。電話が来たら病院へ向かうと同時にその場にいない家族に連絡をとります。エンディングノートに「臨終に来て欲しい方」を記入する人もいます。危篤を告げられたときに連絡をする人をあらかじめ決めておくことは、慌てない行動に必要です。大概は時間帯が深夜や明け方になるので、病院の正確な住所や電話番号、病室番号や正面が閉まっている場合の救急の玄関の位置などの通達もします。


看取りが間に合わずに息を引き取った後に病院に着いた場合は、直ぐに葬儀社に連絡をして引き取る事が要求されます。この時点までにイザという時に頼む葬儀屋を決めておかないと困惑します。葬儀屋に遺体搬送と安置場所の連絡をします。安置場所を決めた時点で、病院に間に合わなかった家族に訃報連絡をします。もう病院に向かうのではなく安置の場所に行くように連絡するのです。亡くなった直後の訃報で一番優先するべきは家族です。


2回目は、葬儀日程を決めたタイミングです。葬儀屋に連絡する時には菩提寺の確認も必要です。菩提寺とは先祖からお付き合いがあり境内に墓があることが多いからです。お葬式はそこのお坊様に頼みます。葬儀屋が火葬炉の空き状況を調べ、お寺の連携をとりながら葬儀の日程を決めます。日程が決まると参列に駆けつけてほしい直系の家族親族などに連絡します。通夜式や告別式の手伝いをお願いしたい人にも連絡します。スケジュールの調整を早急にして欲しい人が優先です。三等親あたりまでの親戚と交友のあった友人、知人、会社関係、趣味サークルの人等と、会社関係、近隣、自治会等になりますが、近頃はほとんどが家族葬になり、家族や親戚以外には知らせない人も多くなりました。


3回目は、葬儀が終わった後のタイミングです。小規模に行う家族葬の場合は参列する人数は限られています。参列者以外にも故人の死去を連絡しなければいけない人は結構いるものです。参列が出来なかった方への訃報は、お葬式後に知らせます。故人が死去した事、葬儀を家族葬で済ませた事、家族葬を選択した理由や参列をご遠慮して頂いたお詫び、さらに故人への生前のお付き合いと感謝を連絡することが重要です。


お葬式の準備をしている慌ただしい時間帯に、頭に浮かんだ連絡先を次々に行っていると、連絡するべき人を漏らしたり、連絡しなくていい人に知らせたりと言うミスをしやすくなります。又、誰に先に連絡をして、誰が後の連絡にするかを悩んでしまうと、予想以上に時間がかかってしまいます。「亡くなりました」の訃報連絡をスムーズに行うためには、あらかじめの準備が必要なのです。事が起きる前に、知らせる時期と知らせる人の名簿を事前に作成しておくとスムーズに事が運びます。出来れば連絡する人の名前や連絡先だけでなく知らせる順番も記載しておいてください。


訃報の連絡は、故人の意思を尊重する時間でもあります。可能なら、生前に話し合いながらリストを作成する方もおられます。突然の訃報の連絡は、とても難しい作業なのです。

×

非ログインユーザーとして返信する