おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

四十九日間は何をするの

仏教では死者の霊は亡くなった日から四十九日までのあいだは、この世とあの世を、さ迷っていると教えています。亡くなった人は、七日ごとに七人のお釈迦や菩薩様に会うのです。そのため七日毎に法要を行います。七人のお釈迦様に出会い、教えを受けて勉強をして、それぞれの面接に合格してから、初めて極楽にたどり着けるのです。


命日から七日目毎に、初七日(しょなのか)二七日(ふたなのか)三七日(みなのか)と数えていき、それぞれの担当のお釈迦様の教えを受けます。七日ごとに会う面接官を紹介します。


初七日 不動明王(ふどうみょうおう) 二七日 釈迦如来(しゃかにょらい) 三七日 文殊菩薩(もんじゅぼさつ) 四七日 普賢菩薩(ふげんぼさつ) 五七日 地蔵菩薩(じぞうぼさつ) 六七日 弥勒菩薩(みろくぼさつ) 七七日 薬師如来(やくしにょらい)です。


不動明王は死後の世界へと旅立つ迷い人が、再び現世に未練を持たないように、右手に持っている剣で迷いを切り、左手で握っている縄で迷いの信者を縛って冥界へと引き込む役目をもっています。


釈迦如来は修行をしていない迷い人に、これから向かう冥界の旅へのアドバイスをくれます。仏教の祖である釈迦如来が、丁寧に最初から仏教の教えを説いてくれます。


文殊菩薩は知恵の仏さまであり、仏教徒として身につけるべきことを詳しく教えてくれます。迷い人が将来、仏様になる学問を身に着けるのです。


普賢菩薩はたくさんの功徳を備えている物知りの菩薩様です。迷い人の煩悩を打ち砕き、悟りの世界へと導いてくれます。


地蔵菩薩は間違えて地獄へ落ちてしまった時に、救いの手を差し伸べ極楽浄土へ導いてくれます。ここで面接に合格しないと一生地獄暮らしです。


弥勒菩薩は56億7000万年後に釈迦になる仏様です。未来の困難を救済する力を持っています。迷い人に待ち受ける数ある悩みを救ってくれます。


薬師如来は左手に薬壺(やっこ)と呼ばれる薬の入れ物を持っています。疲労困憊の迷い人に元気の出る薬を与えて回復させ、極楽へたどり着ける最後の道のりを教えてくれます。


一般には四十九日までが忌中(きちゅう)で、この期間は御祝い事の出席や神社への参拝は控えるようにします。四十九日を過ぎると忌明け(きあけ)となります。


四十九日間は、それまで喪に服していた遺族が日常生活に戻る日でもあります。傍にいた人が急にいなくなり、二度と会うことの出来ないショックを、いつまでも引きずる方も多いのです。しかし、亡くなった方は、残された家族がいつまでも悲しむのを、けっして望んではいないはずです。


死者が仏様へと生まれ変わる日が四十九日なら、生きている方が、亡くなった方を偲びながらも悲しみを克服し、日常に戻る気力を生み出すのも四十九日なのです。

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