枕団子を幾つ供えますか
ご遺体を安置し枕元に経机を組立てます。香炉、ローソク立て、樒を差した花立ての三具足を供えます。そしてお水と一膳めしと呼ばれる茶碗に山盛りにしたご飯を供えるご家庭が多いのですが、お年寄りが同居しているお家では枕団子のお供えも一緒に出てくることが多いのです。よく「幾つ作ったら良いですか」と聞かれることがあります。
枕団子は涅槃のお釈迦様にお団子を供えたことから始まったと言われています。「故人が極楽浄土への旅の途中でお腹が空いた時にいつでも食べられるように」とか「空腹で困っている人に団子を分け与えて徳を積んで極楽浄土へ行けるように」という意味もあります。お盆にお供えするお団子には、ご先祖様を「お迎えする」「疲れを癒す」「お見送りする」の意味があります。お彼岸のお団子は、ご先祖様への「感謝」「敬意」を表しています。
枕団子の数は地域の風習や宗派によって違います。一般的には6個作ります。理由は故人が成仏する際には「地獄・飢餓・畜生・修羅・人間・天上」の6つの世界を行き来し悟りを開くと言われています。この六道にちなみ団子も6個にするようです。又、六文銭や六地蔵など仏事に関することには「6」の数字が付いていることが多いのです。お供え団子の数を聞かれた時は、私は6個と答えています。
故人は亡くなった後、六道で悟りを開きながら、どの世界で生まれ変わるかについて十王から裁判を受けます。この裁判が、初七日から四十九日までの間に7日ごとに行われることから、団子の数を7個お供えする地域もあります。「六道からひとつ飛び出し、無事に極楽浄土へ行けるようにとの願いを込めて6プラス1の7個をお供えする」という説もあります。
13個の団子をお供えする地域もあるのです。これは十三仏信仰に由来しています。十三仏とは極楽浄土へ導いてくれる仏様が13人いるからです。故人に「死者の審理」を行う十王の元の姿は、実は十三仏であるという信仰もあり、その仏様の人数分の13個の団子を用意するのです。
49個作る家庭もありました。故人が極楽浄土に到着する日数が49日かかるからです。満中陰と言われる日数の「四十九日」の数です。故人の年齢分の個数を作り飾ると言われたこともありました。ですが亡くなった方がご長寿であった場合、大変な作業になります。80代なら8個、90代なら9個と省略して作ると聞いています。
納棺でお蓋を閉める前に、飾ってある枕団子は半紙に包み、棺の中に入れます。下に敷いていたお供えの団子を置くために使用したお皿は、出棺時に割るのが一般的です。故人がこの世から浄土へ迷わないで旅立てるようにと願うからです。
枕団子には、故人が極楽浄土へ行く途中にお腹のすかないようにとの願いが込められています。故人の冥福を祈りながら、ご遺族が手作りするお団子を飾るのを見ると微笑ましく感じます。枕団子の積み方はお供えするお団子の数によって異なりますが、ピラミッド型になるように積み上げると綺麗に飾れます。貴方はお団子をいくつ食べながら旅立ちますか?