おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

死後の供養を考えてみる

皆様は「死後の世界」について考えることはありますか。家族を送ったお葬式が一段落すると「あの世」について思いをはせる方が多いのです。お葬式を済ませると「これからは故人の供養をしっかりとしなければいけない」と皆様思います。


一言で供養と言ってもいろいろとあります。仏教では供養は尊敬という意味も含みます。供養とは、亡くなった人が安らかに過ごすためにご家族やお坊様が行う行為の事です。亡くなった人が無事に極楽にたどり着き、その地で幸せな第二の人生をおくることが出来るように行うのです。


一言で冥福を祈るとも言いますが、仏教の教えでは3種類の供養があると教えられています。利供養、敬供養、行供養、と言います。


利供養は物による供養で、具体的には仏壇やお墓へのお供え物を指します。故人の好きだった食べ物、お花、お線香、お酒などが選ばれます。捧げる供物の事を香華(こうげ)燈明(とうみょう)飲食(おんじき)と呼びます。香華とは線香と花を指します。燈明は供える火の事でろうそくや電球です。飲食はお供えする飲み物や食べ物です。物による供養とは仏様に食べ物や飲み物をお供えして、ろうそくや電球に火を灯し、お線香をあげることを指しています。故人の好物を供えることで、故人を偲び故人への感謝や温かい気持ちを表すことになります。

敬供養は仏様や故人を敬う供養で、仏教の教えの書かれた御経を唱え御本尊に手を合わせることです。法事の時にお坊様を呼んで読経を行うが敬供養に当たります。

行供養は、仏の道をめざすために善行をすることです。仏教では生きている人が善行を積むことで、亡くなった人への供養につながると言われています。ご家族が毎日を良い行いで生きることが、旅立った人への行供養につながります。


亡くなって直ぐに行うお葬式というイベントも供養の一つと言えます。仏教供養と呼びます。お寺の本堂を真似した立派な祭壇を自宅や葬儀会館に飾り付けそこにご本尊と呼ぶ「仏像」や「掛け軸」を飾ります。お通夜式や葬儀式に煌びやかな袈裟を召したお坊様を呼んで朗々と読経を唱えることで亡くなられた魂が仏様のご加護を受け取ることができると信じます。


亡くなったばかりのさまよえる魂が仏様と会えて極楽への旅立ちを始めると思うことが、供養とも言えるのです。ご家族や親戚が気持ちを合わせて亡くなられた魂の冥福を祈ることで供養の効果が出ます。


お葬式が終わった時からは追善供養と名付けた、亡くなった人を応援するための供養を行います。四十九日法要、月命日、百箇日法要、一周忌法要、三回忌法要、まだまだ続きます。それぞれの命日の法要を行うことや、仏壇にお菓子やお花をお供えして手を合わせるのが追善供養です。春、秋の彼岸や初盆を含むお盆も供養です。亡くなった方の冥福を祈って、生きている人が善い行いをする事が、亡くなった人の善行になりそれが自分に戻ってくるという考え方から生まれた行事です。


供養を行うことで故人の死と向き合うことができます。故人を失った悲しみを乗り越えて心を落ち着かせる時間を持つことができます。供養することで故人との繋がりを再確認することが出来ます。皆様、供養を疎か(おろそか)にしていませんか?

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