おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

2025年4月のブログ記事

  • 親戚への香典返しは悩む

    お葬式の規模が小さくなりました。そして一般参列者からの香典を受け取る習慣も廃れてきています。ほとんどのお葬式で、受付に「故人の遺志によりお香典はご辞退いたします」との案内を出します。お葬式という急な出費を周りが金銭で支えることから始まった香典文化ですが、ご近状や地域のコミュニティの絆も薄れる現在で... 続きをみる

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  • 娘の遺言は誰も呼ばない

    火葬炉に入っていく娘さんの柩を見送るのは、父親と私の二人だけでした。これまでも寂しいお葬式は何度か経験があります。行路病死人と呼ぶ身元不詳のホームレスを役所の担当者と見送る時とか、生活保護の世帯で家族がこない場合などは二人だけで立ち会いました。しかし今回は「故人の遺言で立ち合いは、私だけです」と最... 続きをみる

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  • 遺族の心を和らげた手紙

    家族葬を行っている葬儀会館での出来事です。入り口に1人の女性がやってきました。「〇〇さんのお葬式はこちらでしょうか?」「はい、ただいまホールで行なっております。ご案内いたしましょうか?」「いいえ、家族葬だと伺いましたので、参列はご遠慮させていただきます。ですが、この手紙だけ喪主様にお渡し願いますか... 続きをみる

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  • お斎は亡き母の手作りで

    お斎(おとき)とは、お通夜、告別式、法事などの仏事の後に行われる食事会を指す言葉です。地域によっては「出立ちの膳」と言って出棺前に振舞う食事を言います。通夜振る舞いや法要後の精進落としも「お清め」と呼ばれるお斎に含まれます。一般的には「おとき」と読みますが地域によっては「おとぎ」と濁って言います。... 続きをみる

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  • 樹木葬納骨の問題を探る

    初めてのお葬式を無事に済ませ、四十九日の法要が近づく頃、喪主様とご家族を悩ます問題に気がつく方も多いのです。それは「このご遺骨をどうしたらよいか」です。先祖代々のお墓があるので、そこに納骨をすると決まっている方は幸せです。核家族化が進み「お墓が無い」と嘆く喪家様が多く出てきました。ご遺骨を前にする... 続きをみる

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  • 先ずお水をあげて下さい

    火葬場から帰ったご遺族が玄関先で渡された塩を肩に振り、死の穢れを落とします。洗面所の水で手を洗い、まだ暖かい骨箱を後祭り段にそっと安置します。線香と蝋燭の火を灯して全員で手を合わせます。ご主人を送ったばかりのお婆ちゃんが急に立ち上がりました。 「たいへん、たいへん、お水を忘れていた、おじいちゃん、... 続きをみる

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  • 理不尽な文句が多くなる

    同業者が集まる会合で話し合いに出る題材があります。それは「理不尽な文句を言うクレーマーが増えている」です。カスタマーハラスメントと言う言葉もマスコミが取り上げています。無事にお葬式が終わりご挨拶と共に恐る恐る請求書を渡します。合計金額を確認した喪主様から、問題なくすんなりと現金が出てくるまでが葬儀... 続きをみる

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  • 手作りの布団に包まれて

    病院からご自宅に搬送を頼まれた時は「ご自宅の一階に仏様を安置するお布団を敷いておいてください」とお願いします。お家にご家族がいる場合なら、これから帰ってくるご遺体を安置する寝具の用意をはじめます。もちろん清潔な寝具の使用を望みますが、生前故人が使っていたお布団をそのまま使用しても構いません。納棺式... 続きをみる

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