おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

突然死去の連絡を受けた

何故、お葬式の連絡は突然来るのでしょうか?何気なく出た電話口の連絡が、親戚からの死去の連絡とか、ご遺族や友人からの故人の急な訃報などで、驚いた経験をどなたもお持ちだと思います。ほとんどの方はそのような時に、どのような挨拶を返そうかと悩んでしまうのです。


心の準備の無いまま訃報の連絡は突然入ってきます。そして故人との関係が近ければ近いほど、どのような返答をすれば適切なのかと動揺してしまう方が大部分です。突然の逝去の連絡を受けた時に、ご遺族の方に失礼にあたらない最低限のマナーを守れるように心得ましょう。


先ずは、訃報を受けた時の挨拶は、出来るだけ簡潔に伝えるようにします。突然のことで動揺したり、遺族の方へ心配りなどの配慮を考えたりし始めると、遠回しがちな回りくどい言い方になってしまうことがあります。ご遺族の方は愛する家族を亡くされて非常に気落ちしている状態です。丁寧になることは悪い事ではありませんが、簡潔に哀悼の意を伝えるように心がけてください。


最初は「この度はご愁傷さまです」「謹んでお悔やみ申し上げます」などの挨拶の言葉で始めます。故人がどのようにして亡くなったのかをご遺族に尋ねることはタブーです。病気でも死因を聞くことは避けてください。ですが長く患っている事を知っていて、家族が看病などをされていた場合は、労う言葉をかけるのも良いと思います。大切な存在の方を亡くされた遺族にとって、故人の死因を思い返すようなきっかけを与えてしまうと、さらに傷つけてしまうことになるので、最初から死亡原因を尋ねるのは大きなマナー違反です。


ご主人や奥様を亡くされた場合は、連絡をくれた相手先がとても気落ちされていることが多いです。長年連れ添った場合や、急な不幸の場合などは特に相手を思い遣ることを忘れないように一言付け加えます。


「このたびはご愁傷さまです 長年連れ添っていらしたご主人(奥様)を亡くされ、お力落としのことと存じます、心からお悔やみ申し上げます」です。故人が高齢で亡くなった場合でもこちらから「大往生」「天寿を全う」という言葉を使用してはいけません。この言葉は、ご家族から使う言い方なのです。子供に先立たれた両親は、想像もつかないほどのショックを受けていることが考えられます。簡潔な内容にすることを心がけます。また故人が子供の場合は、弔問に子供同士が望んでいる以外は、あえて子連れでは行かないのもマナーのひとつです。


訃報を受けてお悔やみの気持ちを伝えたら、お葬式の日時・場所、形式などを確認します。故人との対面を希望する場合は可能かどうかも聞きます。ただし安置所で故人と対面するのはごく限られた近親者のみとなっていますので、特別な関係でない限りはお通夜または告別式から参列するようにします。又、他の同僚や友人に連絡が必要かどうかも聞いておきます。遺族によっては、伝えて欲しくない親族が居るとか、あまり大勢には知られたくない事情を抱えている場合もあるため、必ず遺族の意向を確認しておきます。


故人への弔意を表す香典は、通夜また告別式の時に持参するのが一般的です。受付で記帳をする際、「この度はご愁傷さまです」などとお悔やみの言葉を添えて受け付けで差し出します。


訃報の連絡を受けた際、お悔やみの言葉を伝えると共に、遺族の気持ちに寄り添う姿勢も大切です。決して動揺せずお葬式の場所や日時を手短に確認するようにしましょう。

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