おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

もう死にたいと思った時

フューネラル

人間の身体は老いていきます。身体が先に壊れるか、頭が先に壊れるか、どちらにせよ、老化していくと言う事実は、他人や家族に迷惑をかける存在になる事です。又、病気にもなります。国民の二人に一人が癌患者になる時代です。中には「もう治療が難しい」と診断される末期がんの患者になることもあり得るのです。こうなるとトイレまで歩けなくなり尿道留置カテーテルと紙おむつで一日中ベッドの上で過ごすことになります。そうなった時に「もう死にたい」と思うかもしれません。


日本では一年間で2万人以上が自殺しています。交通事故の死者数が年間約1万5千人ですから交通事故で亡くなるより多い人数が自死をしている国なのです。この自殺者のうち60歳以上の自殺数は11,661人で、全体の38.0%を占めていますし、70歳以上の割合も24.8%もあります。自殺者の約4人に1人は高齢者なのです。


高齢者の自殺の原因や動機の7割が「健康問題」です。高齢者は自分の健康状態について悪い評価をします。病気の身体を大きなストレスに感じ「楽になりたい」「元の身体に戻らないなら死んだ方がましだ」といった言動が目立ちます。得に高血圧症、糖尿病、脳梗塞後遺症、心臓病、関節痛などの慢性的疾患をかかえる人は 継続的な苦痛がうつ病の引き金となり自殺につながるのです。身体が動かなくなると、家族に「迷惑をかけたくない」と感じます。心身両面の衰えを自覚し同居する家族に看護や介護の負担をかけることへの罪悪感が芽生えるのです。


長年連れ添った配偶者や愛する子供が自分より早く死去したなどの要因も、喪失感から閉じこもりになり、うつ病を発症します。高齢者のうつ病発症は、自殺の危険性が高くなります。危険性が増すのにもかかわらず、本人が医療機関にかかることをいやがることが多く、周囲が「年のせい」と取り合わなかったり認知症と混同したりして適切な治療が受けられないケースが起こります。近年はこうした背景から、高齢者のうつ病を予防するという観点が重要となりました。引きこもりを防止し生きがいを作り出すことが、高齢者の自殺予防にもつながると考えられ始めています。


「生きがい」とは「生きている現実を感じる」ことです。どうしたら生きているという実感を得ることができるのでしょうか?今一度、あなたの人生を振り返ってみてください。今まで自分が大切にされてきた事を思い浮かべてください。人生を振り返ってみると順調な人生を送っているときには気づかなかった事が思い出されるはずです。人生で覚えているさまざまな出来事を通して、自分が大切にしてきた事と、自分が大切にされていた事に気づくはずです。


あなたにとって大切にされてきた事は、これからの人生においても大切な事です。その思いを誰かに知ってもらうと生きている実感を持つことができます。あなたが生きているのは、あなたを誰かに知ってもらう為です。たとえ小さな事でも、誰かの役に立てた事があったはずです。内容は小さくても良いので、自分にしかない役に立てた事実を心に留めてみます。これらの積み重ねが、あなたにとっての尊厳を取り戻し、これからの人生、自身を持って生きていく上で重要になります。


どんな人生を歩んできたとしても、これからどんな人生を歩むとしても、あなたは、周りにとって、まだまだ必要な存在になっているのを思い出してください。

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