親戚同士でのわだかまり
お葬式の打合せ中です。「今回の家族葬はご家族とご親戚だけに連絡をして参列をお願いするのですね。そう致しますと全員で何人程の出席予定になりますか?」と質問をします。出席人数により使用する葬儀会館のホールの大きさが決まります。この質問の答えがスムーズに出てくれば、まったく問題が無いのですが、往々にして結構なトラブルに発展するのです。
今回亡くなったのはご主人のお父様です。脇に座る奥様が喪主である夫に聞きます。「うちの両親に連絡して参列してもらうでしょう。そうなると両親と同居している姉夫婦も知るから一緒に参列してもらうでしょう」考え込んだ夫は答えます。「おまえの親には知らせないでおこうや、こちらの親戚だけで結構な人数になるし、その上、義理の両親とその親戚も来るとなると大人数になってします。なるべく簡素に済ませたい」「何、言っているの、うちの親には知らせないなんて義理を欠くでしょう。あんた、私と結婚する挨拶の時に、うちの親に『これから家族ですから』と言ったじゃないの」おやおや、夫婦喧嘩が始まってしまいました。
家族葬では死去の連絡をどこまでの範囲にするかは結構頭を痛める問題なのです。お葬式には家族の他にも多くの親戚が集まります。そうなると悩むことの一つが席順です。一般的な葬儀会場では真ん中に通路があり通路を挟んで左右に席が配置されます。席順は祭壇に近い前列から始まり通路側に座る人が上座になります。最上座には喪主とその家族が座ります。その後は故人様の子供、孫、兄弟姉妹などの順に座ることになります。
具体的な席順の例を挙げると、故人様の配偶者が生存なら最上座に座り次に故人様の長男(喪主)とその妻と家族、次男夫婦とその家族、そして配偶者の姉とその家族といった順序です。通常、家族は一緒にまとまって座りますが、故人様の兄弟姉妹があまりにも下座になってしまう場合は子や孫よりも故人様の兄弟姉妹を優先します。そうなると奥様のご両親の座席と義理の親戚の位置が難しいのです。席順は焼香の順番になるため、あまり後になりますと「軽んじられた」と思う人も出てくるのです。
婚姻で出来た配偶者の家族と姻族の親戚は、故人との血縁関係が無いために親族席でも結構、奥の方に配置されます。受付を頼まれた面識のない親戚が「今回は家族葬なので親戚以外はお断りです、お宅は親戚ですか?」と尋ねる場面を見ます。結局、ご焼香の順番も随分後になり、まるで他人のような扱いを受けたように感じる方も多いようです。告別式が終わると、親戚なのに火葬場には同行せずにそのまま帰られる、配偶者の家族の方々を見受けます。中には「こちらは大事な娘を嫁として送り出した家族なのに、お葬式でこのような対応を受けるのはどうなのか」という怒りの声が聞こえる時もあります。
冠婚葬祭の場で一度生まれた「わだかまり」は長い間消えることはありません。時代が変わったと言いますが、いまだに家と家とのつながりというものが存在し、それなりの敬意や配慮が求められるのです。ご焼香が後回しにされたと感じると後々トラブルの可能性もあります。家族葬における親戚の参列のお願いは、事前にご家族で話し合う事をお勧めします。
ムラゴンの皆様に伺います。自分の親のお葬式を家族葬で行なう時に、配偶者の親にも参列をお願いしようと、考えていますか?