おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

お葬式に出席できません

お葬式の連絡を受けても事情があり、どうしてもお通夜や告別式に出席不可能な場合も出てきます。そのような時は、すみやかに弔電を送りご遺族にお悔やみの気持ちを伝えます。しかし弔電はあくまでも略式の方法です。出来るなら後日に改めての弔問が良いでしょう。


始めて弔電を送る方は115番に電話をかけてNTTを利用するのがお勧めです。当日でも夕方までに申し込みをすれば全国に配達が可能です。相手へのメッセージなどが決まっていない場合でもオペレーターが臨機応変に対応してくれます。又24時間受付可能なインターネットサービスならWEBフォームから入力しますと完成イメージとして文面が表示されます。簡単な操作で内容を確認しながら手配まで出来ます。


宛先を喪家様のご自宅宛てにする方も多いのですが、近頃は葬儀会館でお葬式が行なわれるケースが大部分です。ご自宅宛てにしますと喪主様を始めとするご家族が、すでに葬儀会館へ出向いていて手渡しが出来ず受け取りが遅れることがあります。お葬式が葬儀会館で行われることが解かっていれば直接「葬儀会館宛て」に送付してください。その時に必ずお葬式の日程と時間を確認してから申込をします。葬儀会館宛ですが宛名は喪主様です。喪主様の名前がわからなければ「ご遺族様」でもかまいません。会館では毎日数多くの弔電を受け取ります。よく見かけるのは、亡くなった故人お名前が宛名になっている弔電です。亡くなった人宛と勘違いをしている方がおられるかもしれませんが、宛名が死者ではいけません。これはマナー違反になります。必ず確認して喪主様宛で送ってください。


弔電における差出人の表記は、お付き合いのないご遺族が見ても誰か解かるように「差出人名」と「故人との関係」を一言添えます。例えば〇〇株式会社〇年入社同期などと、故人との関係が解かるような書き方をしてください。


オリジナル文面で見受けるのが、亡くなった方との個人的な話題に関する内容があります。できればこれは記載しないほうが無難です。遺族が知らなかった故人との関係などは後からトラブルとなる可能性も出てきます。


弔電の料金は記載する文字数と台紙の種類によって異なります。通常3000~5000円程度です。 台紙はメッセージカードのみの他に漆塗りや七宝そして刺しゅうで装飾された品、押し花や線香が付随した品などがあります。高価な商品では加工した生花のブリザードフラワーの箱入りとか、高級線香が線香皿付きで送られる1万円を超える弔電もあります。


送られた弔電は告別式の中で読み上げられます。そのためには告別式の開始前までに葬儀会館に届くように手配します。コロナ感染対策以降、故人の遺志や遺族の意向として大部分のお葬式が家族葬になりました。家族や親しい親族のみでお葬式を執り行う場合は「香典や弔電は不要」を打ち出しています。連絡を受けると故人を偲び「お悔やみの気持ちをぜひ伝えたい」と考えますが「弔電不要」と案内された場合は、ご遺族の気持ちを尊重して送付を控えるか、送ってもご迷惑にならないかを伺ってから送付するのが無難です。


弔電は故人に対してのお悔やみの言葉であると共に、ご遺族に対する励ましの意味もあります。参列できない場合に必ず送らなければならない行動ではありませんが、繋がりの深い方に対しては、哀悼の気持ちとして電文を送るのも一つの方法です。又、せっかく連絡を頂いたのですから、弔電だけで済ませるのではなく、後日連絡を取って改めて弔問するなり、手紙を送る等の配慮も必要だと思います。

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