おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

家族葬とはどう進めるの

家族葬といってもお葬式の流れは一般の葬儀と変わりません。それでも利点を上げれば、家族だけの少人数で行いますから、形式的な部分を省略できるということだと思います。例えば服装です。家族以外の一般の参列者が多く来るお葬式では、どうしても正式の喪服が欠かせません。家族葬ではブラックスーツや略喪服の着用で済ませることが可能です。


家族葬でも、お通夜の翌日に告別式を行い、その日に火葬という流れは一般葬と同じです。ただ最近は、お通夜を省略したいと言うご希望も出てきました。告別式と火葬のみを執り行う一日葬と呼ぶお葬式を選ばれる方も増えています。ですが御寺をお願いしておきながら、お通夜を省略したいというご希望がある場合は、念の為、菩提寺へ確認してから決めてくださいと伝えています。お坊様の中にはご遺族も希望を受け、お通夜の御経を告別式の前に読んでもらえるお寺もあります。お通夜を省略すると通夜振る舞いという食事を設けないメリットがあります。費用の節約と親戚との会食と言う、気を使う時間が省けます。


家族葬では受付は省略されます。親戚で参列される方が香典を持ってきた場合は「直接、喪主様にお渡しください」とスタッフが促します。一般葬では香典辞退が主流ですが、家族や親族の間ではまだ香典のやりとりの風習は残っています。喪主になる人は香典の管理を誰にまかせるかを最初に決めておいてください。


お通夜の会場に全員が着席したら、お寺様が入場し読経と焼香を行います。お坊様の焼香の後に喪主様、ご家族、近親者の順に焼香をしてください。お寺が退場したら、喪主様から会葬と故人へのお礼、通夜振る舞いの案内、翌日の告別式の開式時間などを伝えます。


葬儀告別式の開始時間は火葬の予定時刻から逆算して決めます。読経の初めの引導部分は焼香を控えます。参列者焼香のタイミングはスタッフが促すので指示に従ってください。お坊様が退場後、家族や親族が棺の周りを囲み、ご遺体の周りをお花で飾ります。棺の蓋が閉じられ、棺を皆様で持ち上げ霊柩車に乗せます。霊柩車の助手席に位牌を持った喪主様が座ることが多いです。遺影写真を持った家族は後続のタクシーに乗り続きます。


火葬場では、炉前の祭壇に持ってきた位牌と遺影を飾り「炉前読経」を行います。お坊様の読経に続き故人に近い人から順番に焼香していきます。極楽への道を示す一筋の煙を上げるため、全員が一回の焼香をします。最期に棺の小窓から対面させる火葬場もあります。火葬の時間は地域や火葬場によっても異なりますが約2時間前後です。その間、遺族は控室でお茶とお菓子をつまみながら待つことになります。火葬が終わると、焼骨を骨壷に収める「お骨上げ」が行われます。終わると火葬場のスタッフから骨箱と埋葬許可証が渡されます。お墓に入れる時に提示する大事な書類ですので骨箱に入れて持ち帰る方もいます。


初七日法要と言う儀式は、本来はその名のように故人が亡くなってから7日目に行われていました。しかしその後葬儀当日に行われるのが主流になりました。家族や親族が再度集まるのが大変なので同日に行うのです。これを「繰上げ初七日法要」と呼ぶ地域もあります。通常は火葬が終わってから行われますが、近年はさらにそれが早まり葬儀告別式に続いてそのまま行う「繰り込み初七日法要」も増えてきています。
最後が精進落としの席です。現在では葬儀後に会葬者や僧侶をもてなす席となっています。家族葬では省略されることも増えてきていまが、故人の想いを共有出来る大切な時間です。

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