おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

家族葬で最初に悩む事は

家族葬を行う喪家様が最初に考える事があります。それは参列者をどこまで呼ぶかという判断です。家族葬という名前から、ご家族だけで行なうと決める方は少数です。これからのお付き合いを考えると、親戚一同に連絡をせずにお葬式を行った場合、知れた後の反響を恐れるのです。ですから家族葬と名がついても親族の参列は必要と思う方が大部分です。


公正取引委員会が作成した家族葬の定義によれば、家族と親族そして親しい友人などが出席して執り行う葬儀とされています。一般葬の定義は町内会を通してのご近所とか、故人やお子様の会社関係に告知して、多人数が参列をする葬儀とされています。家族葬は一般葬と違い少人数のお葬式になるので、費用を安く抑えたいとか、家族の想いを反映したお葬式にしたいという共感を得て瞬く間に葬儀形態の多くを占めるようになりました。


どこまでの関係者を呼ぶかの基準には、参列者の人数が参考になります。家族だけでしたら10名程度で収まります。家族に親戚一同を参列させると30名程になります。家族と親族それに交友関係を入れると参列者50名以上になります。喪主様がどこまで呼ぶか悩んでいる場合には、葬儀屋から大体の参列人数を示して、規模の目安にすることもあります。


10名程でお葬式を執り行う場合は親族の方は呼びません。この場合家族だけでお葬式を行う事を、あらかじめ親族にきちんと連絡しておくことが重要です。連絡をしておかないと後で必ず知れます。「骨になる前になぜ連絡をくれなかった。お葬式に参列したかったのに呼ばれなかった」などのトラブルになることを多く聞いています。
家族葬の最低限のマナーとして「故人の希望で葬儀を家族だけで行います。ですから親族の皆様には参列を辞退して欲しいです」との連絡を最初に行います。お葬式に呼ばない親族の方に対して明確に意思を伝える心がけが大切です。
訃報は突然の連絡です。内容をしっかりと伝えないとお葬式の案内と勘違いする人も多いのです。そうなると当日、呼んでいない方が急遽参列してきて、後日「あの親戚だけ特別に出席できた」などの疑心暗鬼も発生します。親戚の一部を何らかの理由で家族葬に呼ばない場合は、明確な判断基準を持つことが重要です。後日「どうして自分が呼ばれなかったのか」とやっかみに発展してしまうこともあります。


家族葬の参列者をどこまでの範囲にするかお悩みの喪家様にアドバイスをすることがあります。故人との関係を記入した名簿を最初に作成してみるのです。年齢や居住地そして体力的に参列が可能かなども合わせて記入していくと、どこまでの範囲の人を呼ぶかどうかの基準が見えてきます。生前に親しかった方や遠い親族の参列を迷った場合は、これからのお付き合いを考慮して判断します。明確な判断をもって親戚に訃報の連絡を始めると、参列の不可も伝えやすくなります。又、連絡漏れの防止にも繋がります。トラブルを未然に防ぐためにも、参列を断った理由を付け加えて伝えることはとても大事です。


お葬式になると、何が何でも駆けつけるものと思っている親族は、まだまだ多くいらっしゃいます。コロナ過で親戚の参列を断りやすくなったとの声も聞きます。しかし「どうしても参列したい」と言う方がいらした場合は、むげに断らず参列を認めるのもお葬式のマナーの一つだと思います。


家族葬を行なう喪主様が最初に悩むのが、参列者の出席お願いと、お断り連絡なのです。

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