おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

永代供養は永遠ではない

お葬式が無事に済み、火葬場からお骨を持ち帰る家族が次に考えることがあります。この遺骨を納める場所です。自分のお墓が用意してあるという方は少ないのです。高額の墓地使用料を支払い、自前で墓石を建立したお家は、その後、管理費を支払う限り永遠にお墓を使うことが出来ます。これを墓地の永代使用といいます。


しかし近頃は、お墓を守る継承者が見つからず、墓地管理が難しいご家庭も多くなりました。そこで永代供養墓と名付けた、家族に代わり寺院や霊園が管理をしてくれるお墓が人気になりました。前払いで供養費の支払いを済ませておくため、亡くなった後の相続とか管理の心配が無いのが利点です。


永代というからには永遠の時だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが永遠に寺院や霊園がお墓の管理をしてくれる訳ではなく、必ず期限があります。それでは永代供養は何年で終了なのかはご存じですか?


一般的には33回忌まで(32年が過ぎた時)とするところが大分部です。施設によっては17回忌や50回忌だったりするところもあります。32年が過ぎたときに契約満了となり、その後の面倒は見ませんよとなるわけです。供養の期限が終わると他の遺骨と一緒にするとか、土にかえるように改めて埋葬されます。


33回忌で弔い上げとするには理由があります。多くの仏教宗派では33年経つとすべての人が極楽浄土へ行けるとされています。その他にも遺族が高齢となり法要をおこなえないとか、故人を知る人がほとんどいなくなるなどの理由もあります。


33回忌法要のご本尊は虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)です。虚空蔵菩薩は冠に五仏をつけ、右手に剣を持ち左手には宝珠を乗せた蓮華を持っています。この菩薩様は智慧と財宝の蔵を管理して、極楽での貴方の面倒を見てくれます。


永代供養墓の料金は30万円~150万円程です。金額に幅があるのは永代供養墓の形式と供養の内容が施設によって違うからです。永代供養墓は大きく分けて単独墓、集合墓、合祀墓の3種類があります。


単独墓とは通常のお墓と同様に個別の墓石を建てて納骨するタイプです。集合墓とは骨壺の収納は分かれているが、墓石は大きなお墓にまとめるタイプです。合祀墓は他の人の骨と混ぜて納骨し記念碑などを建てるタイプです。33回忌が過ぎると単独墓は墓石を撤去し遺骨は共同の納骨室に移動させます。集合墓の骨壺は他の人のお骨と一緒にして土に返します。


永代供養墓は独身者や子供に負担をかけたくないという人からの需要が高まって人気になりました。永代使用のお墓で起こる、遠方でお参りが難しいとか、継承者が解らなくなり管理料が滞納されるとか、草が伸びきって荒れてしまうなどの問題がありません。あらかじめ管理料を支払っておくので、寺院や霊園がお墓の手入れをしっかりと行います。


32年で忘れられてもお墓の行く末を心配しなくて済むという安心感があるのです。

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