おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

テレビドラマのあれ何か

葬儀屋にはお葬式依頼以外にもいろいろな電話がかかります。「忙しいのに悪いけど、ちょっと教えてほしい。テレビドラマの刑事ものが好きで、よく見るのだが、捜査会議の場面で、殺された人の写真が置いてあって、その脇に白い造花みたいなものが飾ってあるけど、あれ、なんですか?」


「それは四華花(シカバナ「紙華花」「死華花」)といいます。お葬式で使う葬具の一つです。白い紙を竹串に巻きつけ、横に細かくハサミを入れて作ります」


この四華花を飾ることで、亡くなった人がスムーズに仏の道に入ることが出来るのです。お釈迦様が亡くなった時と同様に状況で送り出してあげたいという気持から作られます。仏教のお葬式ではお釈迦様と同様にして死者を安置することが亡くなられた方に対して最高の敬意とされています。


お釈迦様が亡くなられた時の状況はこのように伝えられています。最期を迎えようとしたお釈迦様は、共に修行の旅をしていた弟子の阿難(アーナンダ)に2本のサーラ双樹の間に、北を枕にした寝床を作ってもらうように依頼しました。お釈迦様はそこへ横たわると、修行の先である西を見ながら亡くなりました。すると2本のサーラ双樹はあっと言う間に真っ白になり、そこに白い花を咲かせました。一面が白くなった寝床ですべての煩悩から解き放たれたお釈迦様は入滅されたのです。


この2本のサーラ双樹が真っ白になりという場面を形にしたものが四華花です。地域や葬儀社によっては金色の蓮の花を飾ったりすることあります。また飾る位置もお寺の宗派によって違うこともあります。


地方の風習では邪霊を入れないために四華花を使用する地域もあります。葬儀が終わった後に飾った四華花を墓地に持っていき、墓の四隅に立てるのです。四華花は墓を区画して結界を作るための道具としても使うのです。死霊を封じ込め邪霊を墓に入れないようにする飾りでもあるのです。


私は映画やテレビドラマは急な以来の仕事で中断されることも多く滅多に見ません。それでもお話を聞き興味を持ったので、このドラマを見ることにしました。


たしかに捜査会議の場面に写っています。でも、本当に警察の会議室に祭壇を置いてあるのでしょうか?もしあの被害者が天理教などの神式葬儀やキリスト教信者だったら誰が責任取るのでしょうか?そもそも、あの祭壇の遺影写真と四華花は葬儀屋が設置するのでしょうか?


次々と疑問が湧いてきて、結局あらすじも真犯人も頭に入りませんでした。

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