入浴中の旅立ち
今朝の新聞に高齢者のお風呂の事故についての記事がありました。
入浴中の死亡事故は、交通事故の件数より多いそうです。
特に、高齢者では顕著に数字が跳ね上がります。
ヒートショックに、弱っている心臓が耐えられないからです。
検死が終わったので引き取りに来てくれと、警察から連絡が入りました。
お風呂の溺死は、悲惨です。
昔のお風呂でしたら、入浴中でも湯船のお湯はだんだん冷えて冷たくなりますが、
現代のお風呂の保温機能は、いつまでも追い炊きを続けます。
鍋の中で長時間、煮込まれたシチュー肉です。
これ以上は文面には出来ません。
お迎えに行ったご遺体も、黒いビニールの納体袋にすっぽり入っていました。
棺桶にビニール袋ごと寝かせましたが、このままでは可哀想です。
遺影写真は可愛いいおばあちゃんでした。
写真の原板を借りて、実物大に引き伸ばし、顔修正アプリを使用し、目を瞑らせました。できた写真をビニール袋の顔の位置に張りつけました。
お気に入りの衣類を、ビニール袋の体の位置に張り付け、
周りを、お布団と綿花で飾り付け、故人がベッドに置いていたぬいぐるみを顔周りに
置き、納棺しました。
祭壇の前に安置された、お棺の窓から、お孫さんたちがのぞき込みます、
「おばあちゃん、箱のベッドで、眠っているよ。」
悲しみの中ですが、大人たちから何か安堵の表情が見て取れました。
ひどい状態のご遺体を、子供たちの記憶にさせたくないという大人たちの思いでした。