おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

いつ何人が死んでいるの

皆様に質問します。「日本では一日に何人が死んでいるでしょうか」答えは約4000人です。これだけの人数が日本全国で一日に旅立ちます。4000人の死者を送るため葬儀会館では毎日のようにお葬式が行われ、火葬場は連日満員状態になります。「死人が増えると葬儀屋が儲かる」などと不謹慎な話はブログでは致しません。


もう少し詳しく説明します。厚生労働省の人口動態調査では2021年の死亡者数は143万9856人。1日当たり3944人。1分当たり2.7人の人が亡くなっています。調査年度以降は毎年高齢者が増えていますので死亡者数は上昇し続けています。


それでは我々日本人はどのような原因で死んでいくのでしょうか?高齢者では、第1位は「悪性新生物」ご存じの癌と呼ばれる病気が死因のトップです。続いて2位は「心疾患」3位は「老衰」4位は「脳血管疾患」5位が「肺炎」と続きその後「誤嚥性肺炎」「不慮の事故」「腎不全」「アルツハイマー病」となります。 さらに年齢別に見ていくと10歳から44歳の間は「自殺」が死因第一位に出てきます。過去ブログでも何回も触れているように、わが国は自殺大国でもあるのです。


昔は8月に亡くなる人が多いと言われました。最も多くの人が亡くなる季節は真夏だったのです。ところが1950年頃から逆転が生じて現在では12月と1月に亡くなる人が最も多くなりました。なぜ逆転が起きたのでしょうか。夏に死亡者数が多かった背景には食中毒が存在します。冷蔵庫が無く、食に関する衛生環境が悪い時代は暑さで食べ物が腐り、食中毒で命を落とす人が多く出ました。しかし冷蔵庫が普及して夏の死亡リスクは減りました。よく猛暑日は熱中症のリスクが注目されますが、熱中症で病院に運ばれた人の9割はその日のうちに帰宅できます。死亡原因にはなりにくいのです。


寒くなると体力が奪われます。免疫機能が正常に働かなくなると健康被害が出てきます。寒さが問題だというと、どうしてもヒートショックが原因と思う人が多くいますが、「温度差」以前に「低温そのもの」が肉体には危険なのです。厳密に言えば命をむしばむ危険性が高いのは体感的な「寒さ」ではなく「低温」という状態です。歳をとると感覚が鈍くなります。肉体に負担を感じる寒さが解らなくなります。知らず知らずのうちに健康を損なっていく低温状態になる高齢者が多いのです。実際2015年の医学系学術誌で発表された調査結果では高齢者の20%が身体に受けた低温の影響から不調を起こし、心疾患や肺炎などで亡くなったと記されています。


もっと恐ろしい数字があります。一日を抜き出して調査した数字です。内訳は、全国で一日に亡くなる人が3784人です。そして一日に生まれる人の2371人です。そうなると日本では一日に1413人の人数が減っていくのです。年間では56万人の数で総人口が少なくなっています。それに拍車をかけているのが、一生独身の男女が増え、子供を産まない女性が増え、若くても生活困窮者が増える現状と、巷にお婆ちゃんとお爺ちゃんが溢れて、苦しい年金生活している高齢化社会です。


このままでは日本と言う国は存続が危ういと言う有識者の意見もあります。少子化と高齢化、そして多死社会と言う「お先真っ暗な状態」がこの国なのです。

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