おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

自殺を考えた事がある方

年間3万人以上の人が自殺をしています。日本は世界的に見ても自殺の多い国です。厚労省人口動態統計で年齢別の死亡原因を見ると男女とも10歳~40 歳では自殺がトップです。特に12月と3月には自殺で亡くなる人が多いのです。葬儀の仕事に就いてから驚いたことがあります。自死と言う死因で亡くなる方がとても多いのを知った時でした。このブログでも自殺者の旅立ちを数多く綴っています。


自ら命を絶つ方はすごい決断力を持った方だと思います。普通の精神状態では自分の手で命を絶つ恐怖には絶対に勝てません。死ぬ事が出来るのはとても強い気持ちがあるからです。それでも自殺を考えている人は最期まで「生きたい」気持ちと「死にたい」気持ちの間で揺れ動くと言われます。残された家族はそのことを知ると気がつけなかった自分自身を大いに悔やみます。自殺者を出した家族は通常では理解できない出来事にまず驚きが来ます。その後に救いの手を差し伸べることが出来なかった自分に怒りがくるのです。そして一生自身を責める心が芽生えるのです。


自殺は家族に大きな影響を与えます。残された人は自分が見逃した兆候があったのではないかと戸惑い、罪や怒りの感情を引き起こします。衝撃的な出来事に最初に来る気持ちは「信じられない」「現実ではない」と否定の感情です。その後に「ぜんぜん悲しくない」と自身の感情が麻痺する方も出てきます。お葬式の打合せの時に感じるのは、残された遺族に悲しみの感情がほとんど見えてこないことです。


自ら命を断ってしまった人に家族が最初に来る気持ちは、困惑と怒り、そして自殺を止めることの出来なかった後悔です。そして、ほとんどの家族は「なぜ」と思うようです。遺書を書いていない自殺者は多いですし、遺書が残されていても人々は悩み続けます。「私のせいだ」「あの時こうしていれば良かった」「私だけ生きていて申し訳ない」と自分を責める人も多く見受けます。「勝手に死ぬなんて」と不満をぶつける人や「〇〇のせいで自殺した」と他の人を責める人も出てきます。「なぜ私だけこんな目にあうの」と嘆く人や、周りから見捨てられたと思う人も見受けます。


困難な問題を解決する手段で自殺が選ばれるようです。楽になりたいとの気持ちから衝動的にする人も多いようです。ですが自殺は問題処理の手段ではありません。自殺の原因は、将来の不安、過労や生活の苦しみ、育児や介護疲れ、イジメや孤立などの要因があると言われます。しかし簡単に結論は出ません。ストレスを感じる人生の出来事や周りから受ける社会的要因も自殺衝動の原因になるはずです。


自殺を考えている人の多くは、悩みを誰に話せば良いのかわからないと言います。そうでしたら、何かしらの機会を見つけてお互いに自殺について語り合うことで、自殺行動の助長を防いで、自殺以外の選択肢や決心を考え直す時間を与えることができるはずです。自殺へ追い込む要因は多様かつ複雑です。それなのにメディアは芸能人の自殺を単純化して報道します。そして自殺への偏見が持ち上がると、自殺を減らすために心のケアをする活動とか命の大切さを啓蒙する広報が行われます。


せっかく減少傾向にあった自殺者数の推移がコロナ禍に入り増加に転じています。「死にたい」「消えたい」「生きることに疲れた」などの気持ちを持たれた貴方に、専門の相談員が受け止め状況を整理し必要な支援策などについて一緒に考えてくれます。
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