おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

葬式の準備と一連の流れ

終活セミナーで質問を受けています。「お葬式の費用はどれくらいかかるものなの」「急に亡くなった時は何をすればいいの」「イザと言うときに葬儀屋や火葬場はどのように決めていくの」「お葬式の事前準備はしたいけれども、直接葬儀屋に相談に行くのは気が進まない」「頼んだ葬儀屋に、こちらの不安や無知につけこまれて足元をみられるのではないか」などと次々に疑問の声が出てきます。


昔は「葬儀屋はボッタクリ」と言われた時代もありました。今は最初の葬儀屋選びさえ間違わなければ、大概の葬儀担当者は準備から段取りまで、喪家様が行わなければならない事を適切にアドバイスします。お葬式の知識を何も知らなくとも何とかなります。昔のお葬式は菩提寺とのお付き合い、その地域の風習や繋がり、ご近所総出のお願いなどの喪主の知識が必要なイベントでした。家族の死去に対して事前の準備や宗教の知識も必要とされたのです。今は葬儀担当者が適切に指示してくれますので、喪主や遺族が細かい所まで知らなくとも心配することはありません。


それでも、出来るなら後悔しないお葬式を挙げたいと願う人が大部分です。そのためには最初にどのようなお葬式にするのかを整理しておくことが必要です。宗教儀式はどうするのか、仏式なのか無宗教葬なのか、家族葬なのか一般葬なのか、通常のお通夜から告別式の流れで行なうのか、通夜なしの一日葬で済ますのか、直葬(火葬のみ)なのかと考えておくだけで最初の話し合いがスムーズになります。


お葬式の流れは故人の危篤から始まります。病院で逝去すると、まずやるべきことは「葬儀屋を決める」「ご遺体搬送を手配」「安置場所を定める」の3項目です。喪主様と葬儀担当者で内容を決めていきます。お寺の決定、葬儀日程と式場の手配、遺影写真準備、車両、食事や返礼品等です。お通夜の前に納棺式をします。白装束を着せてメイク髪などを整えます。身支度が終わったら棺に故人を納めます。棺にあの世に持たせたい品を入れます。納棺式後、式場に安置してお通夜が始まります。お坊様による読経が行われ遺族の焼香が行われます。通夜式が終わると通夜振る舞いの会食場へ案内され故人を偲びながら供養の気持ちを込めてお食事を頂きます。


翌日が葬儀並びに告別式です。お坊様の読経までが葬儀式で、その後の焼香の時間が告別式です。告別式の式次第は地域や宗教によって異なりますが、一般的には遺族の挨拶や別れの時間が出棺前に行なわれます。棺に花を入れるお別れ後、蓋を閉め火葬場へ向かいます。霊柩車の助手席に位牌を持つ喪主様が座ることが多いです


火葬場に着いたら棺の前で最後の読経が行なわれます。「火葬前勤行」と呼ばれ焼香は「一回焼香」と言われる一つまみだけを一回香炉に入れるように指示されます。香炉からの煙が極楽を目指し一筋で立ち登るからです。火葬の時間は約2時間程です。火葬が終わると、連絡が来て故人と近しい遺族から順に遺骨を拾骨し骨壺に納めます。骨壺を持ち帰り本来は亡くなって七日後の「初七日法要」をその日の内の行い、その後「お斎」「精進落とし」と呼ばれるお食事会を催して親戚とは解散になります。


ご自宅に「後祭り祭壇」と呼ぶ三段の段組みを飾られていますので骨壺、遺影写真、白木位牌、香炉と燭台を飾ります。最初に行うのは紅蓮の炎にさらされて喉が渇いている仏様にグラスのお水を差し上げることです。

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