葬儀屋もミスをしますよ
この仕事は失敗が許されません。「ゴメンナサイ、やり直します」の言い訳が通らないのです。冠婚葬祭はすべて二度と繰り返しが出来ないと言われますが、特に、お葬式は「もう一度お願いします」が出来ません。どのようなお葬式の形であろうと出席人数が多くても少なくても、決して準備に気を抜くことが出来ないのです。
当然、私共の請け負ったお葬式でも過去に大きなミスをしたことがあります。それが遺影写真の取り違えです。今でも思い出すたびに心が苦しくなるトラウマがあります。その日のお通夜の前に早めに来たご遺族が祭壇に飾ってある遺影写真を見て
「なにか違う、もしかして間違った人を遺影写真にしていませんか?」
聞いた途端、血の気が失せるのが解かりました。すぐさま、原因追及に当たります。ご自宅から遺影写真候補に預かったのは2枚の写真でした。1枚は故人様が一人で写っていましたが、横向きで参列者と目が合わず遺影写真に向きませんでした。もう一枚が家族の集合写真でした。写真制作担当者は故人が写っている写真を見て、集合写真の似た人を選び出し、大きく引き伸ばし遺影写真に作りました。ところが、その選んだ人は故人の双子の兄だったのです。その方は3年前に他界していました。似た顔を疑問もなく選び出し確認せずに、作成してしまった結果、他人の遺影写真が祭壇に飾られてしまったのです。すぐに外し、作り直してご家族以外には知れ渡りませんでしたが、ご請求金額から遺影写真作成料は請求できませんでした。
さすがに私共にはありませんが、過去に大きなニュースになった葬儀屋のミスがあります。それがご遺体の取り違えです。そして火葬まで行ってしまったのです。ご遺体の取り違えは墓地埋葬法違反に該当する可能性があります。犯罪になるのです。このミスによってトラブルが発生した場合は債務不履行として損害賠償や減額を請求される可能性があります。
先日も、ある地方で身寄りのない高齢女性の遺体と別の90代女性のご遺体を取り違えて出棺するミスが発生しています。そして誰にも気がつかず火葬されてしまい、その後取り違えが解かったそうです。この原因は出棺の際に従業員が氏名の確認を怠ったことです。尚且つ火葬は墓地埋葬法で定められた死後24時間後と決められていますが、この経過は24時間前に執り行われたため、大阪府警布施署が同法違反容疑で捜査を進めていると報道されています。
同業者の会合では。過去の発注ミスや当日までに備品の準備が間に合わなかったことなどが話題になります。もし、訴えられると法的問題として葬儀屋側の債務不履行(民法415条)に該当するとして、相当額の減額が請求額から発生します。例えばお葬式の進行が時間通りに進まないとか、受付で会葬者に他のお葬式会場を案内するとか、式場までの誘導が出ていないために道に迷い式が終わってしまったとか、靴を履き間違えられて帰られてしまったとか、頼んでいた生花や供物が出ていないとか、口頭で日程を伝えた結果、菩提寺のご住職がお葬式当日来なかったとか、参列者が曜日違いや時間の聞き違いで来られなかった、とか、数えきれないほどのミスやトラブルが起こる世界です。
毎回何事もなく終わるのを願い、送り出すのを見届けて心底ホッとする毎日です。