おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

お葬式の成功は担当次第

インターネットで「葬儀」と検索をすると上位に出てくるのが葬儀屋斡旋業者です。テレビCMでお馴染みの「よりそうお葬式」「小さなお葬式」が代表的です。安価な価格設定に飛びつくお客様も多いのですが結構トラブルも聞きます。中でも多いのが「電話で話した担当者と実際に来た担当者が違い、こちらの要望した内容が伝わっていない」とのクレームです。商店で例えると、お客の注文と店員が渡した商品が違うようなものです。


電話で話をした担当者、病院に来た担当者、葬儀の打ち合わせの担当者、当日の施工担当者、食事のサービスの担当者、集金や葬儀後の事務の担当者など、その都度担当者が代わる大手の葬儀社もあります。そうなると目の前の相手が次々と代わり内容の伝達もスムーズではありません。結果、喪主様としては毎回不安が残ったまま葬儀を終える事になります。


弊社では一つのお葬式の施工に1人の担当を最後までつけるようにしています。ほとんどが無事に終わるのですが、中には清算時にクレームが出ることもあります。担当を1人にする理由は、問題が起きた時に聞き取りと解決が早いからです。近年は過去の成功体験をなぞる男性スタッフより、毎回全力対応する女性スタッフの方がトラブルが少ないように感じています。葬祭業は女性の担当の方が向いていると言うのが私の考え方です。


葬儀屋のスタッフが全員お葬式の担当が出来るわけではありません。お葬式の担当者というのは、葬儀に対する豊富な知識と喪家様の気持ちを理解する能力が必要です。そしてお葬式が始まれば臨機応変の心配りが要求されます。粗相や「ごめんなさい」は許されません。お葬式と言うイベントには「もう一回やり直し」の状況はあり得ません。そして清算が済んでも四十九日法要、一周忌法要、多種な相談事といつまでも責任が続きます。


弊社では1人の担当者がお打合せから当日の葬儀まで、責任を持ってお手伝いいたします。故人への思いや、ご要望を漏らさず伺ったうえで施工にあたるのです。中には難しい要望もありますが「できません」とは決して言わずに「こうしたらどうでしょうか」と代案を出すようにします。それが出来る能力を身に着けた人だけが葬儀の担当者になれます。


「悪質業者がお客を食い物にする」という葬儀トラブルはまだまだ多くあります。特にネットやテレビCMで葬儀の発注が出来るようになってからは、多くのトラブルがメディアでも取り上げられるようになりました。一般の人がお葬式に参列する機会はそんなにあるわけではありませんし、喪主になって葬儀屋と打ち合わせをすることなどは、人生に一度や二度あるかないかです。そうなると、どうしても葬儀屋と素人同然である遺族との、葬儀の知識や葬儀に関する費用の意識の差は大きいのです。「葬儀屋にすべてお任せ」という意識では、結果的に不満やトラブルの残るお葬式になりかねません。


打ち合わせに来た葬儀屋の担当者が「どうも気に入らない」と感じたら、「他の葬儀屋の意見も聞いてみたい」と切り出す勇気も必要です。見積書にサインをするまでは請求は発生しません。自分が喪主となる葬儀の担当者がどのような人が来るかは博打のようなものです。長い経歴を持つ年配者とか、あまり慣れていない若年者とか、男女の別など、と一概にお葬式の担当者といっても様々の人がいて、中には当たり外れがあります。


金銭面も含めて喪家様の納得がいくお葬式が無事に終わるのは、葬儀担当者次第なのです。

×

非ログインユーザーとして返信する