自分の葬式を予約します
高齢のご夫婦のどちらかのお葬式のお手伝いを終えると、よく話題に上がるのが、
「私の葬式もすぐだから、あなたに予約しておこうかしら」との会話です。
「お待ちしています」とは絶対に言えませんから、
「ずいぶん先になるので私がお手伝いできるかはわかりません」と話をはぐらかします。
現在お葬式の生前予約は、どの葬儀屋もセールスをしています。亡くなった時に備えて事前申し込みも増えてきています。このお葬式の準備を元気なうちから用意しておく生前予約制度は戦後から始まりました。昭和23年のまだ経済が混乱している時期に生まれた冠婚葬祭互助会の提供するサービスです。葬祭費用は高額になるので毎月少額の金額を積み立てておき、突然の出費に備えるのです。互助会という組織は助け合いの精神をもとに生まれました。会員は一斉に冠婚葬祭を行うわけではなく、会員が出し合ったお金で必要になった人から順番に利用していく合理的な仕組みでした。現在は葬儀の施行件数のうち約4割が冠婚葬祭互助会で行っています。大手を含む約200社の互助会で、会員件数は2,300万件、前受け金は2兆4,000億円を超える規模です。
しかしこの互助会システムにはデメリットも多いのです。実際に亡くなった方が互助会会員でしたが、互助会葬儀を気に入らず当社で施工をされた方もおられます。
デメリットの一つが用意をされている葬儀プランが限定されていることです。低価格のプランは少なく、高価なプランが多く用意されています。そのため選択の自由が利かず、希望どおりの葬儀が行えない場合もあります。
次に積立金のみで葬儀が行えないことです。毎月積み立てを行っていても、それだけでは葬儀費用のすべてを賄えません。満期の積立金だけで葬儀を行った場合、非常に内容の低い葬儀になるのです。希望に合わせた葬儀を行うには、追加費用が必要で場合によっては100万円単位の料金が必要になることもあるようです。
必要が無いからと解約すると、それまでに積み立てた金額から多額の解約手数料等を差し引かれます。積み立てと言っても銀行預金のように全額返還されるわけではありません。解約を申し出たところ高額な手数料が引かれ、預貯金代わりになると説明されていたのにと納得のいかない方も多くいます。
互助会を申し込むのも、お葬式の生前予約の一つですが、出来るなら、信頼のおける葬儀屋を見つけ、自分の葬儀の相談を前もってすることが一番の生前予約です。
我々は自分の葬儀を見ることができません。お葬式は人生の最後の大事なセレモニーです。自分の葬儀に向き合うと、身じまいを考え、人生を見つめなおすきっかけになります。
時間が出来たら、近くの葬儀屋を見学し、もし気に入ったら生前予約でもしておこうかと考え始めましたか?