おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

葬儀後に何を始めますか

お葬式が無事に終了し、集金やご挨拶に伺うと、たびたび受ける質問があります。
「これから私は、何から、手を付けたら良いのでしょうか?」
私は司法書士や税理士ではないですから、いままでの経験からのお話をします。


亡くなった方が、世帯主であったり固定資産税の納付者だったり、光熱費の振り込みの名義人であったりすると、急いで手を付けないといけないことがあります。
必ず質問に出るのが銀行等の金融機関に口座名義人が死亡したことを連絡すると、金融機関はその口座を凍結する話です。凍結された口座からは一切預貯金を引き出すことができなくなります。電気ガス水道等の光熱費や、携帯代金などの引き落としも、不可能になります。そのままにしておくと、電気が消えガスが止められ水が出なくなり、暮らせなくなります。


「銀行口座は自動的に止まるのですか?」
「いいえ、ATMでカードの引き落としは可能です。ただ、死亡日時以降に、引き落としたことが後日解かると、税務署手続きや相続の話し合いの時にトラブルになります。まず、亡くなった方の通帳を記帳して、光熱費だけ引き落とし名義人を変更し、それから、窓口に行き亡くなったことを伝えてください」


未払い入院費や葬儀費用を、故人の口座から支払いたい場合でも、口座凍結後は自由に引き出すことできません。ただし、相続人全員の同意書等の必要書類を揃えれば引き出すことができます。お金が必要ならば手続き方法を金融機関に確認します。


市役所手続きで自動的に行われると勘違いしているのが年金の手続きです。受給者が亡くなった場合は、死亡後10日(国民年金は14日)以内に届出なければなりません。手続きを忘れていて支給が続いていると、後日面倒になります。届出によって遺族年金などの給付が受けられる可能性も出ますので、なるべく早く年金事務所に行くよう勧めています。


市役所に行き健康保険から、葬祭費の名目の給付金を貰います。申請しないと貰えません。お役所は親切なようですがお金の支給は申請待ちです。


亡くなった方が死亡保険に加入している場合、受取人は保険会社から死亡保険金を受け取ることができます。死亡保険金は遺産分割の対象にはならないため、遺言書の検認や遺産分割協議を待たずに受け取ることができます。すぐに保険会社への連絡を勧めています。


借用書などが出てきて慌てることもあります。故人の借金も相続対象ですから、相続放棄や限定承認は故人が死亡した日から3か月以内にしなければなりません。3か月経つと借金も相続することを承認したとみなされます。


亡くなった年の確定申告は、故人にはできませんから、相続人が代わりに行ないます。この代わりに行う確定申告のことを準確定申告と言います。医療費控除などを死亡した日の翌日から4か月以内に行わなければなりません。


お金持ほど大変な作業になる葬儀後の手続きです。残された人が困らないように、そろそろ隠し財産をエンディングノートに書いておこうと思い始めましたか?

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