おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

ご本尊には友達がいます

前回、仏壇の中のご本尊の話をブログに書いたところ、数人の読者の皆様から、「家の仏壇に掛け軸が3枚掛かっています。ご本尊の他は誰の絵ですか?」との質問がありました。小さい仏壇ですとご本尊の掛け軸1枚だけの場合もありますが、仏壇の奥には中央の本尊の右側と左側に人の姿の書かれた掛け軸や文字の書かれた掛け軸が掛かっています。
ご本尊の両脇の掛け軸を脇掛けと呼びます。ご本尊をより丁寧に祀るため、宗派で定められた絵や字の掛け軸を両脇に掛けるのです。脇掛けには菩薩や明王の絵や、その宗派を広めた、祖師の絵や、絵と同様の大事な文字の名号などがあります。


ご本尊の如来は最高地位の仏様ですが、如来を補佐する役目を持つのが、菩薩や明王です。菩薩は修行中の仏様ですし、明王は如来を敵から守る役目があります。


祖師像は「脇侍」(わきじ)と呼ばれます。宗派の開祖や教えを広めた名僧です。上人とか聖人とか大師の名称で呼ばれます。


名号は「南無阿弥陀仏」の六字名号とか九字名号や十字名号があり、仏像やお釈迦様の絵の代わりになる文字列です。


掛け軸の組み合わせは宗派により異なります。仏壇に向かっての左右を表し、祖師の顔が必ずご本尊に向いています。


浄土真宗本願寺派(西)
本尊:「阿弥陀如来」 左脇掛:「蓮如上人」右脇掛:「親鸞聖人」


真宗大谷派(東)
本尊:「阿弥陀如来」 左脇掛:「九字名号」右脇掛:「十字名号」


真言宗
本尊:「大日如来」  左脇掛:「不動明王」右脇掛:「弘法大師」


天台宗
本尊:「阿弥陀如来」 左脇掛:「伝教大師」右脇掛:「天台大師」


浄土宗
本尊:「阿弥陀如来」 左脇掛:「法然上人」右脇掛:「善導大師」


曹洞宗
本尊:「釈迦如来」  左脇掛:「常済大師」右脇掛:「承陽大師」


臨済宗
本尊:「釈迦如来」  左脇掛:「普賢菩薩」右脇掛:「文殊菩薩」


日蓮宗
本尊:「曼荼羅」   左脇掛:「大黒天」 右脇掛:「鬼子母神」


亡くなった方はご本尊と脇掛けに守られて極楽で楽しく過ごしているはずですが、一番うれしいことは、毎日、貴方が仏壇に挨拶をしてくれることだと思います。

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