おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

孤独死が発見されるには

フューネラル

一人暮らしの高齢者が一番気にする事があります。それが、万が一このまま死んだら気づく人がいるのだろうかと言う心配です。お風呂に入っている時、トイレでいきんでいる時、飲みながらテレビの前で笑っている時、そしてベッドで熟睡する前の眠気が襲ってくる時などふっと頭の隅によぎる様です。終活の相談でも孤独死を避けたい、迷惑をかける前に発見されたい等の、切実な要望も聞きます。肉や生魚は冷蔵庫に入れ忘れると一日で臭い始めます。人も死ぬと直ぐに腐敗が始まります。


死亡すると心臓が止まり身体中を流れていた血液は身体の地面に近い部分へと溜まります。滞留した血液が皮膚から透けて見えるのが死斑です。安置する死体の背中は青白くなっています。死亡してから2時間程で関節が動かなくなります。顎関節から始まるので入れ歯を外しておくと入らなくなります。口を閉じさせないと死に顔が口を開けたままの可愛そうなお顔になります。死後硬直がピークに達すると次に腐敗が始まります。初めに腐敗する部位は胃や腸の消化器系です。本来は食べた物を消化する胃液が死亡後は胃や腸を溶かしていきます。さらに放置すると腸内細菌と内臓の融解が始まり全身の腐敗に進みます。体内で発生する腐敗ガスの中に含まれている成分で死体の腹部は青色に変色します。全身に溜まった腐敗ガスにより身体は膨れ上がります。身体中から腐敗汁が溢れ、皮膚は溶けて骨が露出します。腐敗臭を嗅ぎつけたコバエや銀蝿が群がります。生みつけた卵は直ぐに蛆になります。柔らかい部分から食い荒らし身体中の穴から潜り込み体内を動き回ります。


腐る前に発見してもらう行動を起こしましょう。警備会社に見守りを契約する人もいます。赤ちゃんやペットを監視するカメラでリビングを注視してもらいます。トイレや玄関の扉が一回以上開閉していない等の異常事態が起こると警備員が駆けつけます。安否確認で頼れるのは遠い身内より近くの他人です。ご近所が「カーテンや雨戸が開いていない。洗濯物が干しっぱなし、昼間から電気がついている、異臭がしてハエが飛んでいる」等で通報されることも多いのです。新聞配達員や宅配の人からの異変察知も良く聞きます。数日前から郵便受けの新聞が取り込まれていない、昨日配達した弁当がそのまま置かれている等の業者さんの通報により、瀕死の状態で倒れていた人を救命できた話もありました。「旅行で留守にする時は新聞を止めますから連絡をください」と契約時に念を押す配達店も多くなりました。


働いている人であれば「出勤してこない」で勤務先からの通報もあります。上司が通報するか否かの判断は日頃の勤務状況が影響するようです。地域包括支援センターや介護スタッフがご近所の通報で動く事例も多いです。関わっているお宅に訪問して反応がないなら、上がり込み生きていることを確認するマニュアルがあります。


おひとり様の高齢者が、万が一残念ながら死亡しても、発見が早ければ早いほど死体の腐敗は防げます。安否確認は一刻を争います。孤独死の後に腐敗状態で発見された住居は価値が無くなり賃貸物件では高額の賠償請求が発生した例もあります。


今までのケースから発見者は第三者です。身内は頼りになりません。家族や親戚は「便りが無いのは元気な証拠」と無関心なのです。身体が腐らない前に確実に見つけてもらえるよう、御一人様の高齢者は何らかの手を打っておく事をお勧めします。

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