おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

あなたの死に方はどちら

さて、皆さんに質問です。
人の死に方には 二つの方法があります。さあ 何と何の死に方でしょうか?
考えてみてください。


ベッドで死ぬのと、畳の上で死ぬの、の二通り?
癌で死ぬのと、それ以外の病気で死ぬの、の二通り?
病院で死ぬのと、自宅で死ぬの、の二通り?


残念ですが、すべて違います。


ここで言う 二通りの死に方とは、書類上の違いです。
人間が死ぬときに必要な書類があります。


一つは死亡診断書、もう一つは死体検案書、どちらかの書類です。
どちらの書面も死亡届の右半分に記入されます。 
         
病院でお医者様が「ご臨終です」と死亡確認してくれると、死亡診断書が発行されます。
死亡時間、氏名・性・生年月日の他に、死亡した場所、死亡の原因、死因の種類などが記入されます。歯科医師も書くことができます。
死亡届の右側に書いてくれますから、左半分の死亡届欄を記入して市役所に持っていくと、スムーズに死亡が確認されます。そして火葬許可書が発行されます。


それではもうひとつの死体検案書が書かれる事態とは、どのようなことでしょうか。


たとえば、交通事故でその場で死亡が確認された場合とか、
火事、地震、津波、土砂崩れなどの災害事故死、
ストーカーや殺人犯に殺された場合の事件死、
誰にも看取られず、腐っていく孤独死、
そして結構多いが、自殺死、です。


どれも、病院のお医者様は、死亡診断書を書きません。お医者が死亡診断書を書けるのは24時間以内にその患者の診断をしていて、なおかつ死因の判断が確定できる場合だけです。 さきほどあげた、病死以外の死亡は、死んだ人と病院の関係がないのと、なぜ死んだのかという特定ができないので、死亡診断書が書けないのです。


死体検案書というのは、警察の依頼を受けた警察医が記入します。検視ともいいます。
検視ができるのは警察の中でも検視官という特別な資格を持った刑事だけです。自宅で亡くなった大往生も、かかり付け医が居ない場合は異常死になり警察が来ます。


さて、あなたは死亡診断書で旅立ちますか、死体検案書で旅立ちますか?

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