おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

平服での参加者に違和感

フューネラル

この頃、家族葬で気になることがあります。それは、喪服を着ない参列者が目立つことです。家族のみだから普段の服装でも問題ないと考えるようです。ビジネススーツでしたら、納得できる場面もありますが、中にはティーシャツにデニムの極めて気楽な格好の若者も見ます。こんな服装では葬儀会館のホールとか火葬場での待合室では、どうしても異質に感じます。周りの方も「喪服を着ていないのは見学者の方か裏方スッタフなのだろうか、まさか家族では」など疑心暗鬼を生ずる様です。


一般葬全盛期のお葬式案内には「平服でお越しください」と記述される場合がありました。平服とは会社員の通勤着である紺やグレーのスーツのことです。急な案内のお通夜の場合はこれが普通でした。なぜかというと昭和の頃は亡くなったその日にお通夜を行うことも多くあり、会社に出勤していて亡くなったという知らせを受け、その日の夕方参列しなければならないケースがありました。そのため「むしろ通夜には平服で参列しなさい、なぜなら喪服だと事前に亡くなることを見越して葬儀の服を準備していたと思われるから」と書いているマナー教本までありました。現在は火葬場の混雑で亡くなってから早くても3日後にお通夜というのが常態化しています。その結果「用意する時間があるからビジネススーツの参列は違反」という状況になりました。都市部の一般葬通夜では平服で参列している人はいません。


本来の喪服はご遺族だけが着用する服装でした。神道では死は穢れです。出来れば避けたい対象です。ご遺体はもちろんですし、そばにいるご遺族も周りからは避ける対象です。それで喪服を着ることによって死者の家族であることが解りやすいようにしたのです。間違えて他の人が近づかないように配慮した結果が喪服の着用です。やがて故人を偲ぶ気持ちを表すために、遺族でない人も喪服を着用するようになりました。喪服着用は、故人を偲び供養しようという気持ちの表れと、ご遺族への哀悼の意を示すためなのです。


「突然のお葬式に喪服は持っていません」と言われる方も多くいます。葬儀屋に相談して下さい。老舗葬儀屋でしたら貸衣装店を紹介します。又は葬儀会館内に貸衣装を用意している施設もあります。時間がないのならAmazonを利用するのもお勧めです。メンズフォーマルに喪服があります。レディースブラックフォーマルの画面も出てきます。ポチリとクリックで速達便設定なら翌日に届きます。買い物の時間が取れるなら青山やAOKIの紳士服量販店も喪服が購入できます。男女ともに品揃えは豊富ですから、自身の気に入った喪服が選べます。金銭的に出来るなら安い喪服を見つけたい人は、男性はユニクロ、女性はしまむらで購入できます。


「リクルート活動の時に着た黒いスーツを持っているから、それをお葬式に着ていこう」と思う若者も多いです。ですが市販の黒のスーツは葬儀会館の証明の下では喪服に見えません。黒いスーツは本当の黒ではないのです。礼服の喪服の生地はむしろミッドナイトブルーという色を使います。照明の下では一番黒く見えます。夏場の会場は暑いからと言ってアンサンブルの喪服のジャケットを脱ぐ女性がいます。黒のワンピースを着ているから問題ないという考え方も間違いです。男女ともお葬式の最中はジャケットを着用してください。


お葬式は、故人を弔う場と遺族に哀悼を表す場所ですから、キチンとしたフォーマルな装いが求められるのです。

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