おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

葬儀司会者の大事な役目

フューネラル

日本は超高齢社会の到来です。あちこちでお年寄りが見られ介護施設や看取り施設はどこも満員御礼です。そして、次々と死んでいきます。火葬炉はフル回転しています。それでも死体の増加に追い付きません。最低、火葬まで3日以上待たされることも多くなりました。そうなると、我々の葬儀市場が大きな注目を集めています。儲かると見込んで他業種も参戦しています。「小さなお葬式」で一躍有名になったネットの集客業者も随分増えてきました。そうなると当然のようにトラブルも増加しています。


「人生最後の式」と言われるお葬式のイベントです。大勢の参列者が集う一般葬と呼ばれるお葬式は少なくなりました。家族と親戚だけが集う家族葬全盛ですが問題なくスムーズに進行するには、葬儀司会者の手助けが必要です。特に、お寺のご住職を呼び読経をお願いするとなると、焼香のタイミングが難しいのです。通夜式の時と葬儀式の際の読経には、参列者の焼香で読経の邪魔をしてはいけない時間帯があります。特に、葬儀式での引導渡しの時間は大切で、ご住職も邪魔をされるのを嫌います。その進行の手助けをする葬儀司会者の果たす役割は重要です。


葬儀司会者の役目はお葬式の進行と案内をするだけではありません。開式前や火葬場に出発する前の時間に生前の故人を紹介する場面でも活躍します。ナレーションによる雰囲気つくりは、見送る最後の機会に敬意を持った紹介をすることで、快く故人を送り出す効能を生み出します。素敵な、エピソードを作るのは、故人が家族にとってどのような存在だったのか、打ち合わせの段階でご遺族から詳しく話を聞いておくことが大切です。ですが良い印象を残そうと誇張するのも良くありません。具体的なエピソードを交えながら紹介すると、参列者にも伝わりやすくなります。


葬儀司会者は専門のプロも多いのですが、葬祭ディレクターやセレモニースタッフなどの葬儀屋が請け負うことが結構あります。司会業は周りの状況を見ながら物事をスムーズに進行することが求められるため一見難しいように感じます。しかし決められた台本も用意されていますので、プロでなくても進行を覚えて進められます。


葬儀司会者を育てるセミナーや講習会はいくつか開かれていますが、研修料金が高額な上、形式ばかりのものが多いのが実情のようです。1回か2回の研修で講師の話をいくら聞いたとしても、実際のお葬式に適用する技術を身につけることはまず不可能だと思うのです。


司会者の能力として仏式作法の内容はもちろんの事、神葬祭、キリスト式、無宗教式、社葬やお別れ会のナレーションといった葬儀司会のすべての習得が必要です。膨大な知識の習得に加えて実際にマイクを握ってもらい実技中心の研修で学んでいくスタッフが多くいます。


今日も葬儀司会者のアナウンスが厳粛な会場に流れて、お葬式が始まりました。「本日は故〇〇〇〇様の葬儀式並びに告別式にご参列を賜りまして、誠にありがとうございました。本日、進行役を務めます△△と申します。どうぞよろしくお願いします。間もなく〇〇宗〇〇寺ご住職様がご入場されます。皆様、合掌にてお迎えください」


抑揚をつけず冷静に話す話し方が大事です。厳かな場では淡々と進めるほうがその場にふさわしいふるまいといえます。中には情に流され感情的なアナウンスになりがちの人も見受けますが、それは葬儀司会者としては許されないと私は思います。

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