おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

葬儀屋の就職はやめとけ

フューネラル

社員募集の面談に来た若者が言いにくそうに話し始めました。「私はサービス業としてこれから成長産業だと思うし、働いてみたいと希望しているのですが両親が大反対なのです。親が言うには『葬儀屋は職業に悪い印象がある、重労働である、労働時間が不規則である、精神的な負担がある』と私の就職に反対しています」弊社のスタッフもこの仕事に就職や転職を考えたときに周りから「やめとけ」という意見を聞いています。人から感謝される仕事であるのに、なぜ、やめとけという声が出るのでしょうか。


葬儀屋は死体を扱う仕事ですから悪い印象を抱かれる人が多いのです。神道では死は穢れという考えなので死体に気持ちの悪い印象を持っている人も多くいます。中には「ご遺体に触れた手で子供を抱いて欲しくない、縁起の悪さや死の気配をまとうのが嫌、人の死でお金を稼ぐのはおかしい、日々悲しい気持ちに影響されてしまいそう」等が言われます。


アカデミー賞外国語映画賞を受賞した2008年の映画「おくりびと」でも本木雅弘氏が演じる主人公が納棺師(故人様のご遺体をお化粧や着替えで綺麗に清めて整えお棺に納める仕事)に就いた際、妻や友人から「もっとマシな仕事をしろ」「汚らわしい仕事はやめて」「触らないで、汚らわしい」と周囲からの偏見に晒されて悩んだ様子が描かれています。


葬儀屋は365日24時間営業です。労働時間も不規則になります。人はいつ亡くなるか予想できません。深夜でも病院や警察から要請があればご遺体の搬送に向かいます。そのため宿直や自宅で電話対応をする待機の夜勤があります。又、お通夜や告別式の時間により勤務時間が異なるため早いと早朝から出勤が求められることもあります。お通夜は18時以降からになり残業が発生しやすい勤務形態です。


葬儀屋は死体を目にするので精神的な負担が大きい仕事と言われます。自殺、事故などの亡き骸は綺麗な状態とは言えません。孤独死の現場では死臭が酷く吐く事もあります。しかし、ほとんどの方は病院で亡くなります。亡くなられた直後にすぐに看護師さんの処置(エンゼルケア)を受けるため体液漏れはありません。その後葬儀屋がドライアイスなどの処置を進めるため、正しく処置されたご遺体は、臭いも腐敗もありません。適切なご遺体処置の知識を持つ事さえあればご遺体の対応に精神的負担を感じることは少ないはずです。


葬儀屋は肉体労働が多いというイメージを持たれがちです。といっても一日中ご遺体を搬送したり祭壇を組み立てたりするわけではありません。 一日の業務に占める搬送業務や設営業務は実はとっても短時間です。葬儀屋で働く上で、ご遺族様との打ち合わせやお葬式の接客、見積もり業務など「頭脳労働」も主な業務です。女性比率の高い葬儀屋が増えています。体力に不安を持つことなく働ける仕事です。


葬儀屋は「高度な専門サービス業」「究極のサービス業」であり、誇りを持って従事できる仕事だと自信をもってお伝えできます。それでも残念ながら「葬儀屋は悪いイメージがあるからやめとけ」と言われることもあります。実際は社会的意義が高く「死」に携わるからこそ感じられる尊厳を大切に「やりがい」を持って働ける仕事です。

「ご両親とよく話しあってください」と送り出しました。

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