おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

大切な人を亡くした後は

フューネラル

お葬式と言うイベントは最愛の人との永年の別れを実感する場です。結びつきが強い故人との別れは、その後、家族のそれぞれの心を傷つけます。お葬式が終わり、心の痛みを感じ具合が悪くなる人は多いのです。その病んだ心の緩和を図るのがグリーフケアです。グリーフケアとは大切な人を失った喪失感や悲嘆(グリーフ)に寄り添い、立ち直るための支援を行う介護のことです。この介護とは、悲しみの遺族の心の回復だけでなく家族関係や生活への影響など複合的なサポートをさします。


死別を経験しますと、知らず知らずに亡くなった人を慕う気持ちが、湧き起こる感情が生まれます。多くを占めるのが「大きな喪失感」です。また一方では死別という現実に対応して、この窮地をなんとかしようと努力も試みます。現実に対応しようとする思いが「立ち直り」の気持ちです。この共存する二つの間で揺れ動き、結果としてなんとも不安定な状態となります。同時に身体上にも不愉快な反応や違和感を経験します。これらをグリーフと言います。


グリーフの時期には「自分は何か」「死とは何か」「死者はどこへ行ったの」などの問いかけも自分自身に行います。又、この時期の特徴として精神的な反応は、感情の麻痺、怒り、恐怖に似た不安を感じます。孤独、寂しさ、やるせなさ、罪悪感、自責感、無力感などが症状です。


身体的な反応としては睡眠障害、食欲障害、体力の低下、疲労感、頭痛、肩こり、めまい、動悸、胃腸不調、便秘、下痢、血圧の上昇、自律神経失調症、体重減少、免疫機能低下などの身体の違和感、疲労感など、不調も出てきます。


日常生活や行動の変化では、ぼんやりとする、急に涙があふれてくる、落ち着きがなくなる、より動き回って仕事をしようとするなどが表れます。


このグリーフ(深い悲しみ)を乗り越えるには、まず自分の感情を素直に認めます。そして受け入れることが大切です。その後、故人との思い出を振り返ります。落ち着いたら、周囲に助けを求めてみるなり、時間をかけて自身の心と向き合う努力をしてみます。充分に悲しみを味わえたら、誰かに自分の心を受け止めてくれる人を見つけることで自ら悲しみを整理して行く作業が必要です。


グリーフからの回復は、喪失と立ち直りの思いを天秤にのせた心の動きをします。一日のなかでも上下し、さらに週や月単位で変化させつつ進んでいきます。ほとんど人は、時間の経過で悲しみが鎮静化に向かっていきます。より早く悲しみを癒すためにはグリーフの知識を持つことも必要です。一人では無理だと感じたら専門家に頼ります。これをグリーフカウンセリングと言います。最近では、心療内科や精神神経科などでグリーフケア外来を設けています。ネットで探したワークショップに参加してみることも一つの方法です。同じような境遇の仲間と感情の共有を行い、他人を見ることによって、客観的に自分を再認識することができます。


愛する人を送る家族が「納得のいくお葬式」というフューネラルセレモニーを行うのもグリーフケアを軽減する方法です。この儀式は悲しみを思う存分表現できる場でもあり、悲しみを共有できる人達が集まる場でもあります。同じ気持ちを共有し、悲しみを存分に話し合うことが、グリーフケアとして一番有効だと言えます。

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