四十九法要は相続相談日
お葬式が終わったご家族からよく話題に出る質問があります。「相続の話し合いはいつすべきですか」「葬式が終わったら直後に財産の話を持ち出すのは如何な物ですよね」「親が亡くなってからいつまでに相続の話し合いをすればいいですか」相続の話し合いとは亡くなった人が持っている財産ついて、平等に分け合う相談になります。
出来れば故人が生きているうちに、残された家族で遺産分与について話し合うのが一番なのですが、生前では皆様タイミングの切り出し時期に迷うのです。故人の死去の後に、いつまでも遺産分与の話し合いを先延ばしにしていると、相続手続きの期限に間に合わなかったり、余分な費用が発生したりするリスクが高まります。
例えば、故人の借金が持っている財産を大幅に超えている場合などは、ご家族は相続放棄をしますが、この手続きは死去後3か月の期限を過ぎてしまうと原則受理されません。そうなると莫大な借金などの負債も相続しなければならなくなってしまいます。相続税申告は10か月が期限ですが、それを過ぎると延滞税が発生するだけでなく各種減免制度も利用することができなくなるのです。
手続きを伸ばしていると色々と不都合が起きてきます。上記の質問を尋ねられると
「出来るなら法要が一区切りついた四十九日頃が相続の手続きに良いと思います。四十九日が過ぎてしまっている場合はなるべく早く話し合いの場を設けることをお勧めします」
と回答しています。相続の話し合いを始めるには、事前に遺言書の確認、故人の相続財産調査、相続人は誰がいるかの調査を済ませておきます。これらの準備が不足していると、いざ集まっても話し合いは進みません。この事前準備は結構な日数と時間を要するため、出来るなら初七日が過ぎたころから準備を始めるのが理想なのです。
遺産をどのように分けるか相談して決めることを遺産分割協議と呼びます。遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけません。この遺産分割協議が成立すると、全員が合意したことを証明するため遺産分割協議書という書類に相続人全員が署名と押印をします。この署名と押印が一人でも欠けていると遺産分割協議書として成り立たず銀行や各機関も受け取ってくれません。
相続人全員でと言っても、必ずしも全員が同じ場に集まらないといけないわけではなく電話や郵送のやりとりでも問題ありません。しかし対面で資料を見ながら全員で話し合うのが一番効率よく進められることは確実です。そのためには、ほとんどの場合、相続人が全員揃う故人の四十九日の、貴重な機会を利用するのが賢明です。
このように四十九日の法要は話し合いの絶好のチャンスです。葬儀代の話や形見分けの話から相続についても切り出しやすいというメリットもあります。四十九日より前は故人を偲ぶ期間です。この期間は、まだ仏様は極楽には辿り着いていません。成仏の前に遺産の話をするのは不謹慎だという考え方が日本にはあります。
四十九日の法要を終えると、故人の魂もあの世に渡り切ったと考えられるので、そのタイミングで相続の話を持ち出すのが良いかと思います。